《私のビジネス日記帳》編む、編まれての糸偏産業 糸編代表 宮浦晋哉

2025/05/28 06:27 更新


 運営する「糸編」という会社が、今月で9期目に入りました。創業から13年。〝キュレーション≒編集〟という手段で糸偏産業に関わりたいという思いを込めて、この社名にしました。「編」という言葉には、「ばらばらのものを整理して、組み立てる」という意味があります。改めて自身の仕事や性質に合っていると感じています。

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 社名に込めたコンセプトとは裏腹に、実際は全国の産地に通い続ける中で、仕事を編んでくださったのはむしろ関わってくださる皆さんでした。創業期は交通費すらままならず、自費出版の本を手売りしながら産地を巡っていました。今では年間200を超える現場に伺い、海外出張まで飛び回るようになったのは、奇跡としか言いようがありません。受け入れてくださった皆さんの存在があって、今の糸編があります。

 僕には仕事に対して小さなマイルールが二つあります。一つは、どんな依頼もまずは断らないこと。もう一つは、感情を言い訳にしないこと。例えば、人前で話すのが本当に苦手です。でも、産地でいただいた感動や知識を多くの人に広く伝えることは自分の役割です。だからやるしかない。「苦手だからやらない」は言い訳になってくれません。

 これからも「糸編」として産業の中で機能していけるよう、地道に精進していきます。その積み重ねこそが、これまでいただいてきた優しさへの恩返しになると信じています。

(糸編代表 宮浦晋哉)

 「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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