《視点》主客転倒

2025/07/30 06:23 更新NEW!


 選挙があるたびに疑問に思うことがある。当落線上にある候補者が街頭宣伝などで、「厳しい戦いです。お願いします。どうか私を助けてください」などと叫ぶ姿だ。

 いうまでもなく、選挙とは有権者が自らの考えや要望を政治に反映させるため、投票行動を通じてその「代弁者」を選ぶもの。「お願いしたい」「助けてほしい」のは、候補者ではなく有権者だ。「主客転倒」である。

 販売員は接客の際に「ありがとうございます」と感謝の言葉をかける。わざわざ時間をさいて来店し、お金も使ってもらうのだから当たり前のことだ。とはいえ、買い物した際に、販売員から笑顔で感謝の気持ちが込められた「ありがとう」を聞くと気分が良い。

 接客を通じて欲しいと思っていた商品が買えただけでなく、予想もしていなかった商品に出合えたり、意外性がある新しい着こなしの仕方を発見し、感動したことがある。販売員の笑顔や気持ちがこもった言葉とともに、感動を与えてくれた感謝の思いがあり、帰り際に販売員に「ありがとうございます」と自然に言葉が出ていた。こういう主客転倒はあってもいい。

(有)



この記事に関連する記事