今年も平坦(へいたん)な道のりではなかった。春先からトランプ関税に振り回され、為替変動も大きかった。百貨店の免税品売上高は24年に円安で急回復したが、25年上期は円高に振れたこともあり大幅な反動減。再びの円安基調で10月にようやくプラスに転じたが、中国の日本への渡航自粛の影響が11月下旬から出始め、先行きは不透明だ。
気候変動も続いている。6~8月の平均気温が過去最高を更新し、今年も〝長く暑い夏〟は各所に影響を与えた。ブランドの多くがMDの見直しを進めてきたはずだが、想定通りにはいかず、秋冬物商戦での成果は限られている。野菜や果物の生育の遅れや供給不足で、食品の物価上昇も続いた。
節約志向が強まったが、消費全般に低調だったわけではない。「ミャクミャク」ほか様々なキャラクターコンテンツが国内外の幅広い客層に支持された。『鬼滅の刃』『国宝』ほか映画のヒット作も目立った。当初、集客が心配されていた大阪・関西万博に「はまった」人も多く、一般客の来場者数が2500万人以上となった。
振り返ってみると、経済、気温、社会情勢の変動が続くなかでも、余暇活動に類するような消費は強かったように思う。余暇には、心身のリフレッシュや自己成長の側面もある。山あり谷ありの生活を乗り越えるために欠かせない消費行動かもしれない。
