東京・有明のユニクロのEC専用倉庫を見学した。公開されたのは施設のほんの一部だが、運び込まれた商品の搬入から出荷までのプロセスが自動化されていて、人力に頼るのは届ける商品を箱詰めする作業だけ。今後、日本のほか世界中の倉庫を自動化するそうだ。
似た光景をインディテックスの物流センターでも見た。マドリード郊外の倉庫は、各店配送までの作業の大部分が自動化され、大量の商品が人の手を介さず、広大な倉庫を流れていた。
グローバル大手小売りが、物流の自動化を急ぐのは、サプライチェーン全体を高度化し、無駄や無理のない生産から販売までの仕組みを作りたいから。人手が集まりにくい仕事は、人がいなくても回るように作り変えたいというのもある。
仕事でも勉強でも、ある事柄に習熟するには、ルーチンを一定期間こなし、全体の流れを俯瞰(ふかん)して見られるようになる必要がある。単純作業を機械がしてくれるようになると、人間は別の方法で仕事を覚えないといけない。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「ルーチンワークはロボットやAI(人工知能)、コンピューターで全部自動化できると考えている」と話す。これからの人間の仕事は「深く考えて計画と準備をする」こととも言う。それが本当にできる人は今、どれくらいいるだろう。