大手百貨店が拡大した自主商品開発は、何をもたらしたのだろうか。先行した三越伊勢丹、そごう・西武は拡大路線から一転し、この一年で整理・縮小して収益重視を徹底する。
自主商品開発は12年から本格化し、売上高に占める比率は10%超まで高まった。自らが物作りに深く関与し、生産から販売までの一貫化を目指した。流通の効率化による原価低減だけでなく、商品の独自性を確保する試みだ。工場やブランドと組んだ買い取り品などを揃える。
ただ、これまでは失敗を繰り返してきた。要因の一つは、生産から販売までのサプライチェーンを構築できなかったことだ。産地の構造や素材、縫製など物作りを理解せずに、生産、納期管理は取引先任せだった。買い取りでありながらも返品や未引き取りが横行し、在庫を抱えて撤退を余儀なくされた。
今回も結果的に「過剰な在庫を抱えてしまった」という。三越伊勢丹、そごう・西武は「実力以上の量的拡大をやめる」と整理しながら自主開発を継続する。SPA(製造小売業)型を目指し、大量消費・販売の発想に陥ったことは反省点だ。
顧客や地域のニーズの変化に対応した、きめ細かなマーケティングが不足していた。商品の同質化からの脱却は大きな課題で、それに変わりはない。百貨店にとって物作りへの関与は絶対に必要だ。