消化仕入れで取引先販売員による運営が主軸だった百貨店。その取引形態が多様化してきた。賃貸借契約やFC契約など卸売りとは異なる形態が広がっている。百貨店運営部分を縮小し、上層階を丸ごと賃貸借契約フロアに転換する事例も目立つ。
一部売り場での買い取り仕入れを広げる百貨店もある一方、消化仕入れでも販売は百貨店社員が担う例も増えてきた。販売員確保の困難さから、百貨店側による販売が取引先の出店条件になっているからだろう。地方百貨店や支店の課題は、売れ筋品番の欠品といった商品調達面から、ブランドやショップそのものの〝調達〟に変わっている。
「自主販売の成果と言われても、もう10年近く代行しているから比較のしようがない」とある地方百貨店。十数のファッションブランドを販売代行している。自主販売はいわば当たり前のようで、自主販売によるコスト増をことさら問題視はしていない。思えば、大丸松坂屋百貨店が「新・百貨店モデル」を掲げ、ローコスト運営に乗り出したのも、リーマンショック後のこと。
そのころから、消化仕入れが収益源の百貨店のビジネスモデルは、成立しがたくなっていたのだろう。「人が出せないと言うから、やむなく自主販売してきたが、もっと前向きに取り組みたいブランドを自主販売していく」。そう話す百貨店もある。