先日、取材したメンズブランド「トキオ」の展示会が刺激的だった。今春、楽天ファッションウィーク東京に初参加したが、「一瞬で終わってしまうランウェーの魅力を別の形でも体感してほしい」との思いがつのり、協業したアーティストやミュージシャンとともにスピンオフ展を開催した。
展示会はショーの熱量を再現し、ブランドの世界や背景を深掘りした内容。コレクション制作の裏側をのぞき見たような感覚があった。以前のインタビューでデザイナーの木村登喜夫氏は自分のことを「遅咲きの異端児」と表現していた。長い下積みでも消えなかった服作りへの情熱はもちろん、人柄や協業アーティストらとの深い信頼関係までもが感じられた。
ショーを支えたアーティストも個性豊かなメンバーが揃う。ランウェーで生演奏したバンド「ランプ」で、ライブペイントのパフォーマンスを担当したAо氏は画家兼美容師。音楽制作と舞台プロデュースを担当したミュージシャンの丸山茂樹氏はショーの音源をCD化して販売した。
こうしたスピンオフ展示会はブランドを多面的な角度で見ることができるので、新たな発見や出会いがあって取材していても楽しい。ファッション業界全体も今まで以上にアートや音楽、サブカルチャーなどの人たちと交わり、新たな表現方法にチャレンジしてほしい。
