ジーンズカジュアル店運営のマルカワ(東京都町田市)は、マルカワ座間店(神奈川県座間市)の女性スタッフによるチーム「座間ガールズ」を打ち出し、着実にファンを増やしている。SNSでの発信のほか、ロードサイド店らしいバイカー向けの施策でバイク好きの客からも愛されている。催事への出張でも活躍し、イベント運営部隊としての役割も大きくなってきた。
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座間ガールズが発足したのは22年の夏ごろ。同店の舟木美保店長が企画を提案した。「当時の座間店はスタッフが全員女性だった。これを生かした発信ができないかと考えた」と舟木店長。シンプルで親しみやすい、座間ガールズという名前でスタッフをチーム化し、アピールすることを思いついた。
しかし、SNSの知識があるスタッフがおらず、立ち上げ時は試行錯誤が続いた。舟木店長は「最初はツイッターが中心だったが、日記のような内容で、反響は少なかった」という。
軌道に乗るきっかけは地道な交流だった。同店を訪れた客の投稿を探し、お礼のあいさつを返すことで、座間ガールズを知る客が少しずつ増えていった。
バイカー向けの取り組みも効果があった。同店はロードサイドの立地上、多くのツーリング客を抱えていた。そこに目をつけ、店の前の駐車場に座間ガールズが、DIYでバイク用の駐輪場を作成。経緯をSNSに掲載し、「バイク歓迎」と発信したところ、多くのバイク好きが「座間ガールズに会いに来た」と店を訪れるようになった。
認知が広がるにつれ、マルカワが出展するイベントにも派遣されるようになった。若林大輔専務は「座間店は店舗の半分が倉庫で売り場が狭く、近隣に大型SCがある難しい店。ただ、魅力的なチームがいるのなら、外へ売り上げを取りに行けばいいと考えた」と話す。
各地のイベントで、物販の接客や、販促抽選会の運営スタッフを座間ガールズが請け負う。そのために店を閉めることもあるが、イベントでの売り上げは座間店の予算に計上する方式にしている。「場数を踏むごとにメンバーがイベント慣れして、場の士気を高めてくれている」と若林専務。座間ガールズの存在は、売り上げ以上の価値も生み出しているという。
取り組みを始めてから、店の雰囲気にも変化があった。舟木店長は「店長、社員、バイトの垣根なく、フランクに会話ができる店になった」と手応えを語る。メンバーの半田孝美さんも、「客との接点が増えて楽しい。会社からも頼られ、やりがいがある」とし、スタッフのモチベーション向上にもつながっている。
今年4月からはインスタライブを始めた。商品紹介が主なコンテンツだが、視聴者のコメントから雑談に発展することも多く、新たな交流の場になっている。
舟木店長は今後について、「ありのままの姿で親近感を与えたい。座間ガールズを通して来店客を増やし、楽しい接客を提供することが第一。そのために何をするかが重要だ」と先を見据える。