アパレル企業で、親子で働く社員が増えている。企業が積極的に親子採用を促しているわけではないが、親が働く姿を見て、自分も将来同じ会社で働きたいと思う子供もいる。「社員が子供に自信をもって薦められる職場でありたい」という意識が、福利厚生など働く環境の整備にもつながっているようだ。
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来年創業50周年を迎えるビームスは、親子や兄弟、親戚、夫婦など、家族で働く社員が複数在籍する。同じ思いを持つ人が集まり、世の中に明るくて楽しい社会現象を起こす集団〝ハッピー・ライフ・ソリューション・コミュニティーズ〟を目指しており、「自分の子供に入ってもらいたいと思える会社でなくてはいけない」という設楽洋社長の思いが背景にある。
アダストリアにも同様の事例がある。「会社が小さかった頃、社員が勤務先の規模などを理由に相手の親族から結婚を渋られたことを福田三千男会長が悔しがっていたのが忘れられない」と伊井照支店本部長。「親子社員の存在が業界全体のイメージアップにもなり、社員の安心感や定着にもつながっていく」という。
ブランド品の買い取り販売を行うK-ブランドオフ(金沢市)は会社理解や社員同士のコミュニケーションを促進し、全社横断の懇親会などを積極的に実施している。そうした取り組みが親子で働きたい社員を増やしていると見る。