熊本地震4ヶ月 綿を育てて心のケア

2016/09/02 06:06 更新


 今年4月に発生した熊本地震。地場の小売業や製造業をはじめ業界への影響も大きく、全国の企業が支援に乗り出した。発生から4カ月が経過した今、課題となるのは被災者の心理的支援だ。現地では、綿を通じて被災者の心のケアを目指す取り組みが広がっている。

 かじを取るのは、衣服造形家で女子美術大学特任教授の眞田岳彦さん。眞田さんは04年の新潟中越地震から、被災者ケアを目指した衣服の研究制作を開始。11年東日本大震災から本格的に、衣服による支援プログラム「心の布」を始め、繊維・アパレル企業から素材提供を受け、被災地でワークショップや展示を行ってきた。

 熊本では、日本綿業振興会から提供された綿の種を配布・植生して作品を制作する。5~6月にかけ、熊本県伝統工芸館を通じて、南阿蘇地区や西原村などの学校、団体、役場計200人に綿の種を配布した。現在は、学校農園や家庭菜園で、児童や市役所職員が共同で綿花を育てている最中だ。

 「現地には今も倒壊した家屋が残り避難者も多い。心のケアにはさらに時間がかかる。生活に身近で成長の早い綿を、家族や仲間と共同で育てることで会話を生み、心の負担軽減につながれば」と眞田さん。

 今後は収穫した綿花を使い、糸紡ぎや作品制作などのワークショップを開くほか、3月には熊本県伝統工芸館で活動記録を展示する。

5月、西原村西小学校で綿の種を植える小学生たち


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