日本では11人に1人いるとされるLGBTQ(性的少数者)のアライ(支援者)を増やすことを目的とするファッションイベント「関西アライモ」が6月17日、大阪市内で開かれ、約130人が参加した。主催は関西アライモ実行委員会。大阪府、大阪市、京都市など11の自治体と大阪男女いきいき財団が後援し、上田安子服飾専門学校、チェリオコーポレーションなどが協賛した。
観客も明るい気持ちに
3回目の開催となる今回はファッションショーを近鉄電車内で行った。近鉄電車でファッションショーが行われるのは初めて。多様性を表現したファッションショーを電車ですることで、LGBTQが身近にいることを伝えようとした。リハーサルを含め、観客以外の多くの目に触れることで、活動を知る機会となる期待も込められた。
ファッションショーは近鉄阿部野橋駅に停車する6両編成の回送電車で行われ、1両をバックステージ、5両をランウェーに見立てた。車内広告を外し、車内放送用のマイクで拾った音楽が流れるなか、左右の席に座る観客の間をダンサーやモデルが闊歩(かっぽ)した。
参加ブランドはジェンダーレス、ボーダーレスをテーマとし、イベントの主旨に賛同する「ヤスユキイシイ」「アートドレス」「テルアキタカハシ」「チャン・ヌー」。4ブランドで約50スタイルを提供し、モデルはアライ11人、LGBTQ10人で構成された。過去すべてにLGBTQモデルとして参加している、いよたみのりさんは「ショーはモデルも観客も明るい気持ちになり、ファッションのパワーを感じる。ホールでなく電車でしたことで、LGBTQの存在を身近に感じてもらえたのではないか」と感想を述べている。
トークショーは、あべのハルカス近鉄本店ウイング館8階、街ステーションで開かれた。関西アライモ実行委員会の山本超基委員長(マヤジャパン代表)が司会を務め、テルアキタカハシの高橋輝明デザイナー、チャン・ヌーの華央里スタイリスト、ヤスユキイシイの大草昌一ストアマネージャ―が登壇。それぞれにデザインコンセプトや関西アライモへの思いを語った。
「見える化」で共感広げ
トークのまとめで山本氏は「私はアライですと手を挙げてくれる人が増えてほしい。LGBTQだけでなく、うつや難病、育児ママなど、誰かが誰かのアライだと〝見える化〟されることで、変われる世界があると信じている」と共感の広がりを求めた。
イベント後、高橋デザイナーは「自分は性別に関係なくそれぞれの格好良さを追求している。こうしたクリエイティブな活動が社会に影響を与えられればと思う。このイベントは意味があり、今後も参加していきたい」と話した。