早朝ゴルフやサーフィンなど、日の出と共に始めるスポーツは爽快だ。朝から体を動かすのは効率的な時間の使い方などとして挙げられるが、それだけではない魅力を提供するイベントがある。
【関連記事】アート鑑賞とサービス どこまでやるか、問われるあり方
世界中で同じイベント
「Park Run」という世界規模のランニングイベントがある。毎週土曜の朝の定刻、イギリスやアメリカ、フランスなど各国1400以上のコミュニティーが公園やビーチをスタート地点とし、5キロメートルをランニングする大会だ。早い人は20分以内で完走できる距離で、日本では生命保険会社がプラットフォームをサポート、東京の二子玉川や大阪の淀川河川公園ほか、都市部以外でもパークランコミュニテイーが形成されている。
イベントが始まったのは04年にさかのぼる。イギリスのテディントンにある公園で、13人のランナーと5人のボランティアが始めた。朝に公園へ集合して走り、ストップウォッチで計測し、手書きで記録を残すというアナログなイベントは、あっという間にランニング好きの間で広まった。20年を経たいま、世界の累計参加者数は24万人にものぼる。
イギリス文化をくむオーストラリアでも盛んで、今春ブリスベン川沿いのイベントを目の当たりにした際は熱気に驚いた。老若男女の参加者はゴール後にアプリを開き、熱心に自身のタイムを入力している。世界共通のオンラインプラットフォームがあり、記録を書き込めるからだ。
早朝のランという気持ちよさに加え、「みんなで走ることがモチベーションにつながる」と10年以上参加している40代の男性は話す。
シェアするだいご味
この仕組みは「早朝」と「仲間」がキーワード。ゴルフやサーフィンも一人よりは気心知れた仲間と行く方が楽しいだろう。その点では、自転車のコミュニティーやイベントも面白い。ロードバイクだけでなくマウンテンバイクやブロンプトンなどの小型車でも、自転車はランより疲れず遠くまで行けるから、早朝に出発するかいもある。
ハワイで毎年9月の第4日曜に開催される自転車イベント「ホノルルセンチュリーライド」で80キロを走った際も、スタートは早朝6時20分だった。薄暗い朝から徐々に日の光が満ち始める中で進む時間には、えも言われぬ感動がある。その喜びを独り無言で味わっていたとしても、ほかの参加者も同じ思いでは、と想像し、また別な喜びが湧くぜいたくさがある。
(編集者・嘉村真由美)