【パリ=松井孝予通信員】仏衣料品リサイクル大手ル・ルレが先頃に行った抗議活動を受け、制度運営団体リファッションは、回収・選別事業者への支援強化に向けた緊急措置を発表した。
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ファッション産業が運営する仏政府認可の非営利組織であるリファッションは、新品購入時に徴収される拠出金(エコ税)を原資にリサイクル制度を運営している。25年の補助単価は1トン当たり223ユーロ、26年は228ユーロと提示され、追加拠出額は4900万ユーロにのぼる。現行の156ユーロからの大幅な引き上げは、アニエス・パニエ・ルナシェ環境移行相の仲裁によって合意に至った。
抗議行動に踏み切ったル・ルレは、仏全土に2200超の回収コンテナを設置し、業界の選別能力の6割以上を担う。現在までに500万ユーロの赤字を計上し、6カ月以上にわたり採算割れの状態が続く。同社代表は「破綻は時間の問題」と危機感を示した。雇用者の多くが公的扶助制度の受給経験者であるとし、社会的統合の場としての意義も訴えている。
制度の財源構造については、「分配の仕組みが制度全体をゆがめている」との指摘もある。繊維系リサイクル業界団体も、「現場の負担が限界に達している」として、早急な是正を求めていた。
環境省は今回の措置を「短期的な安定化」と位置づけており、26年以降に向けて制度の抜本的な見直しに着手する構えだ。