フランスでは、ファッション産業における法整備が進む一方、「循環型」の現場では深刻な制度疲労が進行している。特にリユース・リサイクルを担う団体には、構造的な圧力がのしかかっている。
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本末転倒の事態
慈善団体エマウスの関係者は仏紙『ル・モンド』で「リサイクルは完全にグリッドロック(機能不全)状態だ」と訴える。要因は三つ。第一に、「シーイン」や「テム」などによる低品質・混紡衣料の流入で、素材不明の衣類が再資源化を困難にしている。第二に、アフリカ向けのリサイクル品輸出は、受け入れ国の産業保護や品質劣化への警戒から頭打ちだ。第三に、中国からの格安古着の輸入で、仏国内で回収された中古衣料が価格競争に敗れ、行き場を失っている。