ジュンとマッシュがECサイト運営会社設立 上場も視野

2018/12/17 00:00 更新


 新しいカルチャーを発信し、〝旬〟の商材を扱うECデパートメントを――ジュンとマッシュホールディングス(HD)は共同出資によるECサイト運営会社の設立を決めた。設立は19年2月をめどに、10月10日にECサイトを開設する。出資額は1億円以内の想定で、出資比率は50%ずつの予定。初年度の商品取扱高は25億円、5年後には70億~100億円の計画で株式上場を目指す。両社や他社の幅広い商品を販売するサイトになる。

(北川民夫)

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◆新しい価値と公共性

 「マッシュHDは新しい価値やカルチャーを創る姿勢を持った企業。両社の良いところを掛け合わせれば、他にはないエキサイティングな事業になる」。そう語るのは、ジュンの佐々木進社長。マッシュHDの近藤広幸社長も、「株式上場を目指すのは、ジュンと当社の2社の利益のためだけでなく公平性や透明性を大切にして、よりパブリックな企業体を構築するため。国内外の質の高い企業やブランドが参加しやすい〝土壌〟を作り上げる」と話す。社名は未定。

 新会社の代表を含む役員は両社以外から3人を迎え入れ、そのボードメンバーを支える人員をジュンとマッシュHDから、それぞれ2人程度を出す計画。「私たち2社以外にも出資したいというところがあれば検討したい」(近藤社長)としている。

 同サイトは、ファッション、ビューティー、スポーツ、フード、ライフスタイルの五つのカテゴリーを基軸にしながら、ジュンとマッシュHDが扱うレディス、メンズの全ブランドも対象に出店する。

 サイトとしての独自性を発揮するため、①両社の既存ブランドによる共同企画商品②サイトオリジナルの新ブランド開発③両社のスカウティングによる国内外ブランドの発信――に力を注ぐ。さらに、新しいECデパートメントに「ふさわしい感度や感性を持った商品を扱う企業を慎重に選定して、参加を呼びかける」(近藤社長)。

 既に飲食・食物販やインテリア関連事業を主力とするウェルカムグループ(横川正紀代表)の参加が決まり、ライフスタイル分野を充実する。横川代表は、「当社が扱う衣食住の商材のうち、主に食住を中心に協力することになる。直営事業以外に、事業ノウハウを生かしたBtoB(企業間取引)を推進しており、小売業だけでなく商業施設やホテルなど多様な業種との協業を進めている。今回もその一環」と期待する。

「両社の良いところを掛け合わせれば、他にはないエキサイティングな事業になる」とジュンの佐々木社長(右)、「公共性のある企業体を構築する」とマッシュHDの近藤社長(左)

◆カルチャーコンシャス

 今回のECデパートメント開設については、近藤社長が1年半ほど前、佐々木社長に声をかけたのをきっかけに、ここ半年で事業の具体化が進んだ。品揃えが豊富だったり商品が早く届くECサイトは多くあるが、トレンドやカルチャーについての学びや刺激があるサイトは日本ではまだ少ないとして、参入の余地があると考えた。この2社だからこそ「何を感じてもらえるサイトかという部分も大事にしたい」(近藤社長)という。

 ターゲットは「年齢層を広くとらえながら、ファッションやカルチャーに対する意識が高い人々を対象にする」(佐々木社長)。ファッション分野では「クリエイターによる全ブランドを対象にした、横断的なコーディネート提案を重視する」(近藤社長)などの新しい切り口で商品を紹介し、販売する。ビューティーやフード分野ではオーガニックやナチュラル、健康などを意識した商品の開発に注力する企業とも取り組む方針だ。

 佐々木社長は「ECサイトとしての〝憧れの売り場〟を作る。旬で普遍性のあるファッションの本質の部分を提示して、啓蒙(けいもう)の場にもしたい」。近藤社長は「リアルなイベント開催などコト発信と連動しながら、サステイナブル(持続可能)を意識した新しい価値や市場を創出したい」としている。

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