繊産連、新会長に日覺昭廣東レ会長 サステイナビリティーや中小企業支援に注力

2024/01/22 06:26 更新


日覺会長(左)と鎌原最高顧問

 日本繊維産業連盟(繊産連)は1月18日に総会を開き、新会長に日覺昭廣東レ会長を選出した。総会後の会見で日覺会長は「サステイナビリティー(持続可能性)、中小企業を対象にしたデジタル革命や海外展開支援に力を入れたい」と所信を語った。

(中村恵生)

 総会では24年の活動方針についても確認し、20年に策定した「2030年にあるべき繊維業界への提言」(2030提言)の取り組みを踏襲し、進めていくこととした。

 17年から7年間、会長を務めた鎌原正直氏は最高顧問に就いた。鎌原最高顧問は「7年間、自分なりに頑張ってきたが、最もいい仕事をしたと思うのは日覺さんに引き継ぎができたことで、これほど適任な方はいない。日本の繊維産業は難しい時期にあるが、グローバル展開などを進めていただけると期待している」と話した。

 日覺会長は、「コロナ禍も機に消費者の行動が変容し、製造工程を含めビジネスも大きく変容している。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ビジネスと人権など企業が対応すべき新たな課題が登場し、繊維産業もこれらに対応していかなければならない」と産業を取り巻く環境に触れた上で、繊産連の活動として、サステイナビリティーと、中小企業を対象にしたデジタル革命への対応や海外展開支援に力を入れることを表明した。

 サステイナビリティーについては産地企業が直面する人材不足への対応として、繊産連が22年に公表した「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」の一層の普及に努め、特定技能制度の繊維分野追加への取り組み、技能実習制度・特定技能制度改正への対応を進める。また取引適正化に関し、サプライチェーンにおける人権尊重や賃上げにもつながる課題として注力する。

 二つ目の中小企業向け施策は、デジタル技術が製造業の変革の中核で、トレーサビリティー(履歴管理)実現のためにも重要とし、デジタル導入促進のためのセミナーを開催するなどDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進していく。また海外展開支援として、会員団体や公的機関と連携し、支援を得やすい環境を整備する。

 このほか総会では、能登半島地震の被災地の石川県繊維協会から、全国からの支援への謝辞が述べられた。

 また県内の繊維企業の130社が被害を受け、内30社がまだ操業を停止していることが報告された。

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