紡績企業が人材に関わる課題に取り組んでいる。売り手市場で採用の難易度が高まっている上に、以前にも増して流動化が顕著で、離職者に悩む経営者の声が聞こえてくる。高齢化も深刻で、ベテラン従業員の技術やノウハウが十分に継承されないままリタイアに至るケースも少なくない。各社は「エンゲージメントの高い組織作り」を目標に掲げ、工夫を凝らしながら働きやすさと働きがいのある職場作りに挑む。それが企業の持続的な成長・発展につながる基盤となる。
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人の問題が一番不安
「将来に向けて一番不安なのは人材に関すること」と言うのはシキボウの尻家正博社長。「採用が難しくなっている。採用できても長く勤めてもらえる状況でもなくなってきた」と話す。採用および入社後の定着率を高めるには、「当社の魅力をいかに高められるかが重要」とし、働きやすい職場作りと、企業価値向上に向けた取り組みに着手している。
その一つが一昨年末に始めたエンゲージメントサーベイ。一度目の結果で課題として挙がったのがコミュニケーションについて。「コロナ禍もあり、業績自体も厳しかったので、以前と比べると積極的にコミュニケーションを取る意識が弱くなっていた」ことが結果にそのまま表れた。
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