ウール生地を主力とするテキスタイル産地の尾州が、大きな変わり目を迎えている。3年にも及んだコロナ禍を経て、産地規模はさらに縮小した。分業体制の揺らぎが大きい。しかし、国産の差別化素材を担う同産地への、デザイナーやセレクトショップの期待は大きい。他方でこれらのニーズは、多品種少量が中心。もはや、定番的なテキスタイルを大量に作る時代ではない。定番を大量に作っていた時代に築かれた分業による生産体制には、現状のニーズに対応するには難しい面が多く残っている。古い常識を捨て、現状のニーズに対応する新たなサプライチェーン作りが必要になってきた。
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原糸調達安定化を
原糸、撚糸、糸染め、製織・製編、染色整理が水平に分布する分業は、産地規模の大きさだけでなく、生産効率に見合った受注1単位当たりの一定の生産量が必要となる。国内テキスタイル需要を一手に引き受け、産地規模が大きかった時代に形成された生産体制だ。
今や産地規模は、往時の10分の1。そして受注単位は多品種で、3~5反という少量が当たり前だ。ウールテキスタイルは他繊維に比べて多品種で中少量型であったとはいえ、現状の多品種少量型受注では生産効率の低下は著しく、採算が大幅に悪化した。
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