90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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人気高まるエスニックアクセサリー
1997年4月26日付
ビーズに貝がら、革ひもに〝数珠〟…若い人たちの胸元や手首には、エスニックアクセサリーがいっぱいだ。ストリートでは、マフラーやコートを脱いだとたんに目立ちはじめた。一人で数種類を身につけている人も多い。
赤やブルーのビーズのピアス、革ひもに貝や木の玉を通したもの、カラフルな羽根をあしらったネックレスなど、エスニックアクセサリーの〝国籍〟はさまざま。最近急に目立ち始めたのは、シルバーのインディアンジュエリーと貝がらをそのままの形でぶら下げたものだ。インディアンジュエリーはショップでも人気が急上昇している。スタジオアルタ(東京・新宿)1階のアクセサリー売り場では、4月初めから動き出した。「男の子もアクセサリーに興味を持ち始め、買っているお客様の半数近くを占める」(三越スタジオアルタ店、吉井ひろ美さん)ことも好調の理由。この売り場では男の子向けに、ガイコツをかたどった重厚なシルバーのシリーズなどを増やしている。
数珠も「入荷するたび、すぐに売れてしまう」ほどモテモテだ。「一人で何本も買い集める人がいる。だから動きが止まらない」(同)という。
貝がらのネックレスは女の子に人気。安いものなら1000円前後、高いものでも数千円という値段も若者には魅力。実はこれら数珠も貝がらのネックレスも、テレビで木村拓哉やグローブのケイコなどのタレントがしていたもの。エスニックはパリ・コレクションにも登場したトレンドだが、「はやり始めは芸能人」(同)が、ストリートファッションのキーワードのようだ。
《記者メモ》
レイアウトの際に、写真の顔をカットされているのが残念。エスニックアクセのブームはこの後、原宿を中心とするシルバージュエリーの一大ブームへと続きました。それ専門のブランドも生まれ、飛び込みで取材に回りましたが、ただ一つ、〝教祖〟とも言える「ゴローズ」だけは連日の行列と近寄りがたいオーラに負けてアタックできず。
(赤間りか)