ヘヴン・ジャパン、CRM強化で収益力を向上 DX支援事業も本格化

2025/08/15 06:25 更新NEW!


25年秋冬の新作の一つ「どんとこいブラ・ナチュリ―」

 レディスインナーの店舗・EC事業を手掛けるヘヴン・ジャパン(大阪府河内長野市、松田崇社長)は、今期(26年3月期)売上高計画を前期比15%増の10億7200万円に設定した。前期は「戦略的な減収」だったが、広告宣伝費を抑え、顧客エンゲージメントを重視したDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進めたことで収益力が向上。今期からこうした社内ノウハウを生かし、「つなデジ」をはじめとするDX支援パッケージの販売も本格化する。

 ユニークなネーミングの補整下着などのオリジナルブランドのECと、東京・大阪に持つ試着体感サロンによるOMO(オンラインとオフラインの融合)型ビジネスで成長した。ただ、物価高による〝選別消費〟、EC間の競合激化や販促コスト増などを背景に、収益構造が大きく変化してきたと認識。改めて顧客との関係を深めるDX、CRM(顧客情報管理)戦略を推進することで、「私を理解してくれる」という体験を創出し、ファンを増やす。

 この間、百貨店や商業施設での期間限定販売も積極化し、生の声とECの双方でCRM戦略を加速する。販売実績やアンケートデータに基づく情報の蓄積、データを活用した仮説や修正のサイクルが軌道に乗ってきた。LINEによる一斉送信とセグメント配信の仕組み作り、マップエンジン最適化なども進む。実際に、〝かご落ち〟の低減、アンケート回答率および完了率の向上、グーグルマップレビュー獲得数の大幅増、サロンでの顧客満足度評価など、各種の数字が上がってきた。MA(マーケティングオートメーション)やAI(人工知能)の活用も進み、「定型業務は自動化、人は創造的な仕事に集中する」社内改革も進行している。

 ノウハウを外部に提供するため、マーケティングDX事業部(事業部長=今川浩志取締役最高執行責任者)を設置。今春にはフィードフォースグループ(東京)と提携したつなデジをリリースし、ECサイトを開設できるプラットフォーム「ショッピファイ」を活用する店舗を含め、DX支援事業を本格化し始めた。大きなポイントに挙げるのは使いやすさ。「一部の人だけが活用するデータやエンジニアしか乗れない車のようなシステムでは意味がない」(今川氏)として多種多様な情報もエクセルベースのデータで可視化し、全社員が共有・活用できる点などをアピールする。

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