日本ニット工業組合連合会は6月23日、都内で通常総会を開き、国内外における振興事業の推進、地域活性化、若手・後継者育成を柱とする23年度の事業計画を確認した。
引き続き、合同展ジャパン・ベストニット・セレクションが主軸の振興事業、産地交流や情報交換による情報事業を積極的に進めるほか、外国人技能実習制度の特定技能への認定促進、適正な価格転嫁・取引適正化推進に関わる取り組みと支援などにも力を入れる。
佐藤正樹理事長は、原材料高騰や人手不足などニット製造業を取り巻く環境の厳しさに触れ、「次の時代を生きるためには、社会や消費者に必要とされるイノベーションの創出をはじめ、グローバルビジネスの強化、脱炭素、生産性・収益性の向上などへの地道な取り組みが必要」と話した。
様々な課題や困難への挑戦には「人の力が最も重要」であり、ユニークな発想力や行動力が求められるファッション業界では「常に若い人材が欠かせない」と見るが、近年は賃金の低さなどからニット製造業を志す若い人材が減少。こうした問題を克服するためにも「それぞれが積極的に取引先と交渉し、適正価格の形成で収益を確保することがとても重要」と強調した。
加えて「次の時代を見据えて物作りの技を磨き、海外市場や自販にも目を向け、情報発信や販売方法を進化させていくことが新たな収益源の獲得につながる」とともに、「次世代の人材確保・育成にも結びつき、各産地で好循環が生まれることを期待する」と呼びかけた。
各産地組合の役員からも概況が報告され、深刻な人手不足や価格転嫁が十分に進まない現状が語られた。「激しい繁閑差に対応できるよう、各企業で設備、人員の協力体制を組む」(五泉)、「適切な価格転嫁へ産地一丸となって啓蒙(けいもう)活動する」(東京)など、危機の打開に産地を挙げて取り組む考えも示された。