このほど設立されたパーソナルスタイリング振興協会(JaPPA、しぎはらひろ子代表理事)は、一般個人を対象に最適なファッションを提案する「パーソナルスタイリング」の測定試験「TOPSS」を始める。今年2月に300人程度によるβ(ベータ)試験でテストを行い、6月から本番の試験配信を始める。
【関連記事】パーソナルスタイリング団体設立 知識測定試験を実施
TOPSSはテスト・オブ・パーソナル・スタイリング・スキルの略。試験はファッションに関する歴史や色による効果、体型別コーディネート、ルールなど基礎知識を問う。一方、センスやコミュニケーション能力は試験では測れないため、範囲外とする。対象は販売員やスタイリスト、学生など幅広く設定する。
これにより「(試験の得点に応じて)スキルが見える化し、活躍の幅やキャリアチェンジの可能性が広がる」(天沼聰理事・エアークローゼット社長)とする。例えば、美容などファッション以外の業界で働いていても、試験を受ければ能力を測ることができ、販売員やスタイリストへの転職もしやすくなる。実際、日本プロフェッショナル販売員協会が準備を進めている新たな資格制度とも、販売スキルなどで連携が検討されている。
しぎはらひろ子代表理事 ファッションを学問に
昨年、天沼氏に出会い、協会への思いを聞き、意気投合しました。私が長年抱いてきた、ファッションを学問として打ち立て、体系化するという点です。試験を形にするため、多くの方々の知恵や知識を生かし、ファッションのよりよい未来を作っていきます。
エアークローゼット天沼聰社長 業界全体の共通の物差しに
パーソナルスタイリングを日本の文化にしたいと考えていました。英語検定「TOEIC」のような、公正で透明な仕組みを作れば、実現できるはずです。そのためには、業界全体の共通の物差しにする必要がありました。
試験がスタートすることで、スタイリストもファッションアドバイザーやVMD同様、スキルの一部として目に見える形になり、スキルアップに繋がります。その延長線上では、業界の課題である、販売員など人材の流出を止めることにも繋がります。特に女性の場合、子育てや家庭事情でキャリアが中断することが多い。選択肢を増やすことで、スタイリストからファッションアドバイザーへ、あるいはその逆へ、といったエコシステムの流れも作ることができるはずです。