アイジーエー、商品廃棄ゼロ宣言 前期消化率99%超え

2020/07/21 06:28 更新


 レディスブランド「アクシーズファム」を展開するアイジーエー(福井県越前市)は、7月から「自社商品廃棄ゼロ」を実行する。これまで残っていた在庫品、キズや汚れで販売できなくなった商品、生産段階で出た残反を含め、廃棄しない事業設計を構築していく。

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 同社はアクシーズファムと派生ブランドの「アクシーズファム・ポエティック」を商業施設内の実店舗(現在90店)とECで販売している。一時は拡大路線をとり、全国SCに店舗網を広げていたが、3年前から消化率90%を目標に、商品を作り過ぎない方向にかじを切った。アウトレット店舗も縮小し、通常店舗の販売力を強化してきた結果、前期(20年2月期)の消化率は99.4%という高水準に到達した。

 それでも売れ残った商品約1万点は廃棄対象となったため、今期から残りわずかな服も「焼却しない」方針を表明。外部の仕組みを活用して売れ残り品を有効活用してもらうとともに、生産段階で出る不良品や生地の無駄を削減、MD精度もより向上させ、廃棄ゼロをめざす。

 7月からウィファブリック(大阪市)が運営するアパレル在庫の企業間取引サイト「スマセル」を活用してリユースを促進する。一方、自店でもなるべく売り切れるように、1店舗だけとなった埼玉・入間のアウトレット店舗で「訳あり商品」コーナーを設置。ほつれ、キズがあっても着用可能な商品を、購買者の理解を得て売っていく。同コーナーは最近設置し、顧客には好評だという。

 商品生産段階で出ていた余剰生地、端切れの有効活用も積極化する。19年から福井県の障がい者支援センターひまわりと組んで、端切れでファブリック雑貨を作って商品化している。また、関連会社のエードットカンパニーが運営するECサイト「エードットデパートメントストア」でも、地元福井県の作家と組んで端切れをカルトナージュの材料として活用し、マスクケースを開発・販売。オリジナルプリント生地の残反は、実店舗などでのワークショップで活用していく。秋にはタンスに眠る不要品を引き取り、他アイテムへのリメイクも行っていく計画だ。

 顧客に行きわたる適正な生産数量予測が今後の課題になるが、五十嵐昭順社長は「売れ残りを前提にした事業モデルから脱却し、作り過ぎない、店舗の販売力を磨いて、高い消化率にたどり着いた。今後も消化率94.4%をキープしつつ、顧客の満足度と廃棄ゼロを追求する業態を実現していく」と語った。

「アクシーズファム」では廃棄ゼロに向け、商品生産過程で出た端切れでファブリック雑貨を作って販売することも強化


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