‟技あり“ギフトはシネマから!1(宇佐美浩子)

2015/12/04 17:05 更新


年末に向け、ギフトシーズン真っ盛りのこの頃。あちこちショップをクルーズしながら、「誰に何を贈ろうかな?」と思い巡らず時間も楽しい。そしてまた贈られた側の「ビックリ!」感動するシーンにも、ほのかな期待を寄せてみたく思う。

そこで今年の贈り物のアイデアソース「メンズ編」&「ウィメンズ編」と題し、新作シネマのさまざまなシーンから拝借してみることにした!では早速「メンズ編」から…

 

 

 

まずは半世紀以上にわたり愛され続ける映画史上最長シリーズ24作目、かつイギリス映画史上歴代最高のオープニング成績を樹立したというコチラ! ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが話題の『007 スペクター』

ボンドの愛車、アストンマーティンをはじめ、名車やヘリコプターなどを駆使した躍動感あふれるドラマチックなストーリーが待ち受ける本作。詳細については、あえて私が説明するまでもないので省略させていただくとして、歴代ボンド同様、個性あふれる6代目ボンドの印象的なスタイリングに着目してみることにした!

では仕事着である「戦闘服としてのスーツ」。こちらに関しては、昨今さまざまなメディアでも紹介されているように、6代目は4作全て「トム・フォード」を着用している。鍛え抜かれたボディとスーツの絶妙な一体感にエレガンスが香る。

次に、「最もダンディズムを表現する歴代ボンドのしぐさ」と称されるあのシーン! 激しいアクション後、シャツのダブルカフスの袖口を直すしぐさ。その主役となるシャツは、歴代ボンド御用達というビスポークシャツメーカー「ターンブル&アッサー」のもの。

 

 

 

次いで目を引くのが、世界を駆け巡る旅の多い職務上、前述の仕事着(=スーツ)2、3着くらいと白いシャツ、そしてセーター&ソックスなどミニマム&ダンディなコーディネートを可能にする一式を収納するであろうスーツケース。それに仕事道具を収めるアタッシュケースの2点。

こちらは前作の『007 スカイフォール』に続き、2作連続でオフィシャルパートナーを務める、1897年にイギリスで創業された老舗トラベルケースのブランド「グローブ・トロッター」のコレクションから。

実は自身も長年愛用しているのだが、使い込むほどに味わいが増し、また仕事を含めて国内外あちこちへの旅の思い出をシェア中!いわば私にとっての大切な旅のパートナーとしての役割も担ってくれているように思う。 

ちなみに11月より「ジェームズ・ボンド」限定コレクションが登場した。

ブランドカラーであるネイビーのボディにブラックのレザー、ゴールドのフィッティングに007を象徴する銃口柄(ガン・バレル)のライニングを全面に配したトラベルケースほか、ネイビーのカーフレザーにブラックのウィンザーグレインレザーをアクセントに施したパスポートカバーやトラベルウォレットなど、魅力的な品ぞろえとなっている。

思わず「自分へのギフト」候補に入れたくなってしまいそうだ。

  

 
『007 スペクター』  
12月4日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開。
SPECTRE © 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.

  


次に注目するシネマは『サンローラン』

モードなんていう言葉も理解していないコドモだった私が、自宅の近所にあった当ブランド(おそらく「リヴ・ゴーシュ」)のブティック前を通る度、壁に掲げられたデザイナーの大きなポートレートに、なぜだか強く魅かれたことを思い出す。

そしてオトナになった今、氏の才能に輝きを増す一方、苦悩の時代を過ごしたという約10年間(1960年代後半から70年代後半)のストーリーを、そのブティックがあった近くの試写室で拝見することとなった。

創作と苦悩。この二つの言葉は、切っても切り離せない運命共同体のようなものだろう。本作は「華麗なる舞台裏に秘められた一人のアーティストの素顔に迫る」そんな実話でもある。それゆえ本作のスタッフがゼロから作り上げたという、息をのむような伝説のコレクションのシーンに登場する、妥協なき衣装の数々には深い感動を覚える。

 ところで、本作劇中にも登場するアンディ・ウォーホルのポップアート(写真下)。その背景には、「僕たちは20世紀後半の2大アーティストだ」と氏を称えるウォーホルからの「君のスモーキングもモンドリアンも気に入った」というコメントも登場している。

確かに時代を超越した輝きが、彼らの作品には宿っていると言えよう。

 

 
12月4日よりTOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開
© 2014 MANDARIN CINEMA – EUROPACORP – ORANGE STUDIO – ARTE FRANCE CINEMA – SCOPE PICTURES / CAROLE BETHUEL 

 

さてアンディ・ウォーホルの名が登場したところで、偶然にも目にした資料に彼の名を見つけた。それは1851年にニューヨークでアポカセリー(調剤薬局)として誕生したスキンケアブランド「キールズ」の愛用者リスト。

思えばキールズのファンには、さまざまなジャンルで活躍する人物が名を連ねる。たとえばソフィア・コッポラは自身が愛用者ということもあり、監督作『サムウエア』に製品が登場する。

また、アポカセリー時代のアイコニックな製品として知られる、独自のレシピとユニークなネーミングで好評を博した100種類以上のエッセンシャルオイル。

そのデビュー作となった「ラブ オイル」は、現在「キールズ オリジナル ムスク」という名で、レニー・クラヴィッツやシャーリーズ・セロン、また生前のアレキサンダー・マックイーンほか、世代も性別も超え、幅広く愛され続けているとのことだ。

ちなみにラブ&ピースなムードが高まった1960年代、多くの人々の心をとらえた逸話つきのこの香りに、さまざまな思いを託して贈るのも2015年スタイルかもしれない。


 

 そして締めくくりは、「エデンの東」、「理由なき反抗」、「ジャイアンツ」のわずか3本の主演作にもかかわらず、死後60年を経た今なお「若き伝説のスター、ジェームズ・ディーン」の名に陰りはない。

 

 

 

『ディーン、君がいた瞬間(とき)』。

本作は若手写真家デニス・ストック(ロバート・パティンソン)がディーン(デイン・デハーン)と出会い、彼の才能を確信。「LIFE」誌に掲載する写真を撮るため、二人はニューヨーク、そして彼の故郷へと2週間の旅を共にすることとなる。それは死の直前、1955年のことだった….

ザ・ローリング・ストーンズやU2ほか名だたるミュージシャンからの信望がある写真家としても有名なアントン・コービン監督ならではの視点が光っている。

なお資料によると、主演のデハーンはディーンと全く同じ服を着用し、毎日メイクに2時間近く要して、目の色、眉、ヘアスタイル、耳タブに至るまで「なりきりディーン」を行っていたとのこと。スクリーンで細かにチェックしてみたくなる話では。

 

 
12月19日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
Caitlin Cronenberg, (C)See-Saw Films

 

参考までに、劇中でもとても印象深いディーン愛用のメガネ「TART」(タート)社のアーネル。その実物を目にしてみたく、あちこちで探してみたところ、海外セレブとも縁のあるショップ「GLOBE SPECS」で出会うことができた。

代表の岡田氏の審美眼が光るセレクションをはじめ、いくつかのブランドとのコラボレーションも行っているという膨大な数のコレクション。

その中から、「The Spectacle」というアフターサービスやカスタマイズも可能にしたアンティークフレームのコレクションの一つとして、珍しいカラーの下記モデルを紹介くださった。男性のみならず、女性の私でもシックでクールな雰囲気を醸し出してくれるように思った次第。

 

 

 

最後に、現在実施中の「ギフト×シネマ」にまつわるユニークな募集企画をここにご紹介したく。

イスラエル発人気のバス&ボディケアブランド「SABON」と、別所哲也が代表を務める世界のショートフィルムの総合ブランド「ShortShorts」のコラボによる「SABON Gift Short Film Project」。

こちらは自身で贈った、または贈られたSABONのギフトにまつわるエピソードの中から、見事栄冠に輝いた作品が実際にショートフィルムとして制作され、公開されるというものだ。

ピピッとひらめいた方は、ぜひともチャレンジのほど☆

≫≫「ウィメンズ編」へとつづく




うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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