「森」を超えて!(宇佐美浩子)

2022/02/17 06:00 更新


昨年8月4日、生誕200周年を迎えた世界的メゾンの創業者、ルイ・ヴィトン。その記念プロジェクトが次々と展開される中、昨秋10月15日に発売になった彼が主人公の伝記小説『Louis Vuitton, l’audacieux』(フランス語版)の日本語版が今月15日発売に。邦題は『ルイ・ヴィトン 果敢なるひと』。

筆者も折に触れ、仕事を通じて学んできたはずの彼の生涯ではあったが、まだまだ秘められたストーリーがあることを知ることに!その始まりは、無銭に木靴といういでたちで、生家である水車小屋を後に、2年の歳月をかけてパリへと徒歩で向かう14才の少年時代にさかのぼる。

さて、ご存じの読者もおいでかとは思われる、既に発売の英仏2か国語によるオーディオブックの華やかな朗読者。フランス語版をイザベル・ユペール、そして英語版をジェニファー・コネリーという、仏米2大女優の起用に、当メゾンの風格を感じる。

さらに本書の作者、キャロリーヌ・ボングランは、女性の地位についてのエッセイなど十数冊の著書に加え、日本公開が待ち望まれる話題作『Eiffel』の脚本も手掛けている。こちらも要注目だ。

というわけで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、ルイさん同様「『森』を越えて!」をテーマに巡ります。まずはノルウェーの森へ、音楽のロードムービー『ロスバンド』で!

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ノルウェーの南から北の果てトロムソまで、ワゴン車に乗り、念願の「ノルウェー・ロック大会」決勝戦出場へと向かう4人組「ロス バンド・イモターレ(Los Bando Immortale)」。

ドラム担当グリムと、ギター兼ボーカル担当アクセルの親友を軸に、急遽「ベース」のメンバー募集に唯一参加した9歳のチェロ奏者女子、そして近所の兄貴的存在こと、自動車工場の後継者をドライバーとして、音楽の旅は始まる。果たして無事に到着し、参加できるのか?

ちなみにドライバー役で、歌声も披露するヨナス・ホフ・オフテブロー(画像下)は、両親も兄も俳優という芸能一家に生まれた、いま旬なノルウェーを代表する若手俳優の一人とのこと。

トロムソを訪れたことのある筆者だが、移動はもちろん飛行機。

よって、雄大な自然の中をドライブする中で目にする、フィヨルドの海、針葉樹が生い茂る森、そして雪山など、バーチャルトリップ感覚も満喫できるのが本作の魅力の一つ。

と同時に夢の実現へと向け、ルイ・ヴィトンさんのごとく越えていく「森」には、たくさんの木々が抱く自然のエネルギーが満ち溢れているのかも、などと空想したくなる。

また一方、東京にて先日開催されたNorwegian Fashion Hubによる「CRAFTING A SUSTAINABLE FUTURE」と題されたショールームで拝見した、8ブランドの展示から伺い知れるファッションとライフスタイルのサステイナビリティーのノルウェー的な関係。

その背景にはやはり前述の映画同様、自然との共生や次世代へとつながる躍動感が宿っていたように思う。

ロスバンド

新宿シネマカリテ他にて公開!

FILMBIN AS © 2018 ALLE RETTGHETER FORBEHOLDT

最後に、ノルウェーと森とサステイナブルにまつわる余談的話題を少しばかり。

それは昨今、注目を集めつつづける映画『ドライブ・マイ・カー』。

目下、名だたる映画祭を始めとする受賞歴は随時、記録を更新し続けている。

その原作者である村上春樹の作品タイトルにしばしば登場するのが、本作のみならずザ・ビートルズの楽曲だ。その一つに、前述の作品にも通じるタイトルで、映画化もされた『ノルウェイの森』がある。ちなみに劇中において、彼らの原曲を耳にすることができる異例な作品なのだとか。

そんなザ・ビートルズの映画イベント『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』が2月13日まで5日間限定で、現在日本にIMAX®シアターが導入されている全39の劇場で開催され、一部のシネコンで目にしたコレクターアイテムとも称したい、ザ・ビートルズと愛媛県今治市のタオルファクトリー「IKEUCHI ORGANIC」とのダブルネームのタオル。

こちらも(ザ・ビートルズの版権を持つ)アップル・コア社のお墨付きだと知った。

かつまた今回の「CINEMATIC JOURNEY」のテーマの背景となる「夢の実現」へと続く。

それはザ・ビートルズを神と仰ぐ、池内計司代表の「コラボタオルを作る」宣言結実の完成品だから。

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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