すっかり夏モード!
そんな季節を迎え、ニュースタンダードとなった必須アイテム「マスク」も、そろそろサマーコレクションを新調したく思いませんか?
気づけば私たちのスタイリングも、新たなステージへと進化を遂げているこの頃なのです。
そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、
❝衣装を通じて時代の変遷を見つめてみるのも、シネマ観賞の楽しみ方の一つではないか?❞
ということで「衣装は人生を物語る!?」をテーマに旅をしてみたく!
まずは現在公開中の、「題名は知っていたけど、実のところ物語の詳細は…?」かもしれない。
そんな名作との再会を果たせるシネマ『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。
「衣装が無言でストーリーを語ってくれる」と言っても決して大げさではない、そんな魅力を秘めた本作は本年度アカデミー賞<衣装デザイン賞>受賞の栄誉に輝いた。
小説家の夢に向かいエネルギッシュに歩み続ける次女ジョー役のシアーシャ・ローナン、「ケリング」の取締役に選任されたばかりのエマ・ワトソンが完璧主義者の長女メグを好演。そしてミュージシャンの三女ベス(エリザ・スカンレン)、画家の四女エイミー(フローレンス・ビュー)と、個性豊かな4姉妹を縦糸に。
また折に触れて登場する色とりどりの横糸的人物たちと共に紡がれていく構成だ。とりわけ女性なら、姉妹の誰かに自身を重ねてみることもありそうだ。
そうした個性をも衣装で表現したのが衣装デザイナー、ジャクリーン・デュラン。
「燃えるような赤」のジョー、「ロマンチックなライラックと緑のグラデーション」のメグ、「優しいピンク」のべス、そして「フレッシュなトーンの水色」のエイミーといったように、明確なカラーパレットと各自のスタイルに注力していたそう。
そして次のようなコメントも;
❝一つ一つがちゃんとリサーチされている事実に基づいたものでありながらも、マーチ家の世界の一部であるようなものにしたかったの❞ (本作資料より)
という訳でその巧妙な技をスクリーンで!
全国順次公開中
「衣装は人生を物語る!?」がテーマの今回の「CINEMATIC JOURNEY」。
続いては、前述の作品にも出演していた近年注目の俳優ティモシー・シャラメが主演、かつまた新作が登場する度にチェックしてみたくなるウディ・アレン監督&脚本による『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』の旅。
ニューヨークと言えばアレン。アレンと言えばニューヨーク。
そして今回もその地を舞台に、主人公の大学生カップルをティモシー・シャラメとエル・ファニングという旬な若手二人が競演し、ヨーロッパを筆頭に世界でも話題のラブ・コメディが待機中だ。
セントラルパーク、MET(メトロポリタン美術館)、その周辺に点在する名だたるラグジュアリーホテルの「ピエール」、「ホテルプラザアテネ」、また昨年当コラムでも紹介した映画『カーライル ニューヨークが恋したホテル』にも登場した館内の「ベメルマンズ・バー」、さらにグリニッジ・ヴィレッジや「カウフマン・アストリア・スタジオ」、「バワリーホテル」などなど盛りだくさん。かつて筆者が担当したライフスタイル誌『Invitation』での大型ニューヨーク特集取材時の思い出がよみがえる。
一方、今回のテーマでもある衣装だが、アレンの代表作『アニー・ホール』で目にして以来、やはり彼のアイコニックなブランドと、勝手ながらも称したくなってしまうのがラルフローレン。
本作でもシャラメ演じる主人公、生粋のニューヨーカー、ギャッツビーがまとうジャケットに!
ここで衣装デザイナーのスージー・ベンジンガーのコメントを本作資料より引用すると;
❝古き良き物を愛し、服も昔の物を着る人だから、彼が着ているヘリンボーンのジャケットはラルフローレンの定番。裕福な家庭の出で、ファッションにあまりこだわらない子たちのお決まりの服ね❞
また上記画像にも登場する歌姫セレーナ・ゴメス演じるチャン(主人公の昔のGFの妹役)着用のワインレッドの「ストゥッテルハイム」のレインコートについては;
❝ニューヨークによくいる、超高級な服を平気で普段着にしてしまう女の子❞
なのイメージだそう。
それでは1時間半ほどのニューヨークの旅を劇場でお楽しみアレン!?
7月3日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開
配給:ロングライド
Ⓒ2019 Gravier Productions, Inc.
「衣装は人生を物語る!?」をテーマに旅する今回の「CINEMATIC JOURNEY」。それでは最終目的地メキシコシティへ。
「華麗なる1980年代ファッションとライフスタイル」というコピーと、舞台はメキシコシティと聞けば、とりわけ同時代を生きた世代にとっては気になるコピーではないかと思ってしまう。
加えて美しきセレブ妻、ヒロインのソフィアを演じるのは、メキシコの実力派女優として活躍するイルセ・サラス。また本作資料のプロフィールに記された1節「シャネルのイメージキャラクター」という一節も興味をそそられる!
さて、どんな時代にも予期せぬ出来事が訪れるのが常。本作では1982年にメキシコを襲った経済危機が描かれている。よって、ヒロインの幸せな結婚生活にも大きな変化が...
さて、劇中に登場するヒロインの80年代モードのコレクションも必見。
シャネルのバッグや、カルティエの腕時計、ニナ・リッチのトップスに、FILAのテニスウエアなどなど...
当時のモデルを再現したというレプリカやオリジナルで構成されているとのことだ。
中には本作原作者のグアダルーペ・ロアエサから衣装協力(ニナ・リッチの衣装)や、ダイアナ元妃のドレスに着想を得たとうレプリカも作成したとか(深紅のドレス)
❝私は80年代に生まれ育ったので、この時代には多くの思い入れがあります❞
と語るアレンハンドラ・マルケス・アベヤ監督によると、ヒロインのようなメキシコ上流階級層の女性たちは、流行の最先端としてヨーロッパの貴族たちのファッションを参考にしていたのだそう。
7月10日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
配給:ミモザフィルムズ
© D.R. ESTEBAN CORP S.A. DE C.V. , MÉXICO 2018
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中