日本と中国の違い15のポイント①(田中宏高)

2017/01/18 11:51 更新


あけましておめでとうございます。合同会社T&Lコミュニケーションズの田中宏高です。

今回から、日本と中国の違いについてお話させていただきます。その第一回目は「競争」についてです。

 


日本と中国は競争の概念自体が違うのです。そもそも、ビジネスの世界は競争社会です。日本以上に中国にはいろいろな国の企業が進出しています。

欧米系、日本系、など先進国はもちろん、韓国系、台湾系、香港系はもちろん、東南アジアからもたくさんの企業が進出しています。それ以外に、コピー商品を製造・販売する非合法な会社も競争相手です。当然、競争も激しいです。

競争が激しい上に、競争の概念が違うのです。

日本は、決められたルールの中での競争です。真面目さ、正確さ、効率、技術ノウハウ、などを使って結果の勝負です。そのため、技術や経験や実績などからくる信用が重要で、長年信用されて寿命の長い会社も多いです。世界的に活躍する日本企業も多いです。

一方、中国は自分に有利なルールを作る競争です。

人脈、資金力、したたかさ、貪欲さ、柔軟性などを使ってルール作りの勝負です。信用を前提としていないため不安定で企業の寿命は短く、世界的な企業も少ないです。また、このような体質ですから、中国企業の社員教育をあまり重視していません。真面目で効率的な仕事に対する教育、技術やノウハウの蓄積が軽視されています。

客観的に考えると、日本式競争概念の方が良いに決まっています。ただ、中国国内での競争となると、中国式競争概念を無視するわけにはいきません。


 

そこで中国でのビジネスに際して、まず「自社の戦力分析」が重要です。

例えば、中国国内での人脈は中国企業に劣るわけですから、人脈に代わる何かで補わなくてはいけません。技術力で補うのであれば、それをどのように相手に伝えるか、人脈の不足分をどの程度補えるかまで考えなければなりません。

したたかさでは中国企業に勝てないかもしれないから、誠意のある態度で味方になってもらう、場合によってはノウハウを隠さず出してしまったほうが良いこともあります。

資金力不足や人脈不足などはすぐには解決できない問題ですし、急にしたたかに、貪欲になることも簡単ではありません。それを補う「戦略」が必要になります。

そして、私が考えるもうひとつ重要なポイントは、「柔軟性」です。

ルール作りの競争をしている、ということは、ルールがよく変わる、ということです。つまり、「ルールは変わって当たり前、人によって違って当たり前」ということになります。そのルールの変化に対応するために必要なのが柔軟性、ということです。

中国の場合、経済発展が急速なため、ルールの変更はもちろん、経済環境も変化の量もスピードも日本の比ではありません。環境の変化にルールの変更が追い付かず、現実に合わないルールも多々あります。それゆえ、よりいっそう柔軟性が重要になります。

その上、真面目に正確で効率的な仕事の仕方を教育されていないから大変です。発展のために発生する環境の変化と、人為的なミスによる環境の変化(トラブル)が両方起こるのです。

約束を守って当然、とはとても言えません。約束した時点から環境が変わった場合、約束自体を見直す柔軟な対応も必要になります。そもそも、約束をする段階で先方のミスがないかも確認したほうがいいです。

同時に、ルールや環境が激しく変わる、ということは経営計画もこまめに修正する必要があります。年間計画、ではなく、四半期計画、くらいの頻度で事業計画の立案・修正が必要になります。

ちょうど、新しい年が始まります。年度計画と同時に、直近の3ヶ月間の分析をし、次の3ヶ月の計画を立ててみてください。




田中宏高 たなかひろたか 合同会社T&Lコミュニケーションズ代表社員。72年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、アパレル商社に在籍。退社後、単身中国にわたり、ローカルの縫製工場で勤務。その後、上海にて百貨店の立ち上げプロジェクトに参画。同時に、販売現場の運営管理を経験。その後、独立。日中のファッションビジネスの経験を生かして、コンサルティングのみならず、中国進出日系企業支援、OEM生産、イベント開催、関連サイト・アプリケーションの立ち上げなど多岐にわたって活動中。著書「ビジネスで中国人に負けない本」(アスペクト社)



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