日本と中国の違い15のポイント④「信用」(田中宏高)

2018/03/14 16:20 更新


こんにちは。合同会社T&Lコミュニケーションズの田中宏高です。

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今日は、信用について書かせていただきます。一般的には、日本の仕組みは「信用が前提」としており、中国の仕組みは「信用しないのが前提」と言えます。

なぜそうなったか考えてみると、大きく3つの理由があると思います。

まずは、歴史の問題です。

中国は4000年の歴史の中、ほとんど戦争しています。周辺諸国との戦争、内戦。日本でも、例えば戦国時代は、下剋上や親子に分かれての戦争もあり、当時は「信用しない前提」でした。それがほぼ常に続いているのが中国です。

次に、教育の問題です。

日本は、「躾(しつけ)」のレベルが高く、ほぼすべての人が信用の大切さを教えられています。一方、中国は、多くの人にその部分が欠如しています。信用を重視しない人が多いため、信用しない前提になってしまっているのです。

最後に、人口の問題です。

中国はとりあえず人が多い。特に現在のように発展する前は、人を押しのけていかなければ生きていけない、信用なんて言っていられない時代があったのです。


実際、中国で仕事をしてみると、信用を前提としないと「非効率」になってしまいます。

取引する場合も、売る側は「先にお金をもらわないと信用できない」と考え、買う側は「不良品かもしれないから先にお金を払ったらだめだ」と考えます。分割払いの前金制、となり、払わないとことが進まないです。

約束しても信用できない、となると、ストレスたまりますよね??

ストレスを解消するためには、現場で確認、が必要になり、本当に手間がかかります。ところが、「信用できない」問題が、中国の発展につながっているのです。


売買取引の際に、両社お金と商品を先に出したがらないので、「電子マネー決済」が発達したのです。

電子マネーの会社が、買手からお金を預かり、その後、売手が商品を出荷。商品確認後、問題なければ支払う。という仕組みです。もちろん、電子マネーの会社が信用できなければ成り立ちませんが、売手と買手よりも信用ができる「アリババ」がやっていたので安心して取引で来たのです。

今では、GDPの2倍以上の金額がモバイル電子決済されているというデータもあります(このデータは人民銀行が発表しています。税金のがれの裏取引にも使われている、ということですが...)。

信用を躾(教育)によって植え付けた日本、信用しない前提で仕組み・環境を変えた中国。


これは、他のことでも言えます。

日本は、問題を教育によって解決しようとします。

一方、中国(おそらくアメリカも)は、問題を仕組み・環境を変えることで解決しようとします。

日本のように、平均レベルが高い国は日本式が通用しますが、海外、特に後進国ではその方法が通用しません。日本企業が海外展開で苦労するのは、日本式が素晴らしすぎるため、現地企業からは日本式を期待されているのですが、実現できない点かもしれません。そういった国には、中国式の仕組み・環境を変えるほうが早くて確実に結果が出ます。

世界中で日本式が通用するのは日本だけかもしれませんね。




田中宏高 たなかひろたか 合同会社T&Lコミュニケーションズ代表社員。72年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、アパレル商社に在籍。退社後、単身中国にわたり、ローカルの縫製工場で勤務。その後、上海にて百貨店の立ち上げプロジェクトに参画。同時に、販売現場の運営管理を経験。その後、独立。日中のファッションビジネスの経験を生かして、コンサルティングのみならず、中国進出日系企業支援、OEM生産、イベント開催、関連サイト・アプリケーションの立ち上げなど多岐にわたって活動中。著書「ビジネスで中国人に負けない本」(アスペクト社)




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