ジーユーは、17年秋冬物戦略で、店舗とデジタルテクノロジーを融合した「デジタルストア」を開発する。消費者のファッションに求める情報獲得の変化に対応するため、圧倒的な商品量を展開し、同時に購買マッチングを高めるのが狙い。9月に出店する横浜港北ノースポート・モール店では、通常店の商品量より2倍に拡大、マネキンは200体を置き、スマートフォンアプリ、サイネージ、ナビカート、デジタルミラー、ICタグを活用する。
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今期ジーユーの業績は増収減益の見通し。売り上げは既存店割れながらも、前々期のガウチョパンツヒット時の売り上げより上回っている。減益は売れ筋が分散化し、値引き率が拡大したのが要因。このため今秋冬からシーズン立ち上げ時は、トレンド戦略商材、べーシック、エレガンス、ジーニングまで幅広い商品を揃え、期中企画・追加生産を増やして、収益を高める。
期中生産・追加生産を増やして収益を上げるために、提案する旬のコーディネートや商品情報を消費者に分かりやすく伝えることを徹底強化する。その第1弾が売り場面積約2700平方㍍超の横浜港北ノースポート・モール店。同店ではECを融合、デジタル技術を取り入れ、消費者との購買マッチングを高める。
具体的には、新大型店ではアプリ、SNS(交流サイト)、デジタルチラシで来店前に商品やコンテンツ情報を配信、入店時はデジタルサイネージでICタグを読み込んでコーディネートや購買客のコメントを表示する「オシャレナビ・ミラー」、カートに入れればICタグ読み取りでサイズ・色別在庫状況やコーディネートを表示する「オシャレナビ・カート」といった最新デジタルツールを導入する。
欲しいと思った瞬間での購買マッチングを目指し、全体で値引きを抑えるとともに、EC在庫取り置きサービスも実施して、購買につなげる考え。
「この1年間は消費者の購買選択が進化し、戦略商品一点集中が通じなくなった。特にネット情報があふれた今、来店前にほぼ半分勝負が決まっている中で、来店前からのジーユー情報発信を高めて、店では商品を幅広く構え、購入機会を高めたい」と柚木治社長。ただし、ジーユーが得意とする単品のヒットアイテム作りは継続して、計画生産とQRのバランスを成り立たせたい考え。