みんな服で悩んでる㊦『プレジデントウーマン』副編集長 戌亥真美さん 丁寧で実践的な情報を
働く女性や女性リーダーの増加を背景に、15年に月刊化した雑誌『プレジデントウーマン』。現在の管理職やこれから管理職を目指す30代後半から40代がコア読者の同誌では、年に2回、ファッションの特集を掲載し、アパレルや百貨店と組んだ実践的なセミナーも行っている。副編集長の戌亥真美さんに聞いた。
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基本はスーツ
誌面ではプレゼンテーションのテクニックや企画書の作り方など「仕事にすぐに役立つ企画」を提供しています。4月と10月のファッションの特集も、役職やシーンに合わせてすぐに応用できる内容です。テーマはスーツやジャケットスタイルの見直しや、着回しの方法など。やはりスーツが基本となります。男性の中に入って仕事をする女性にとっては、カーディガンはありえません。
ファッション企画は実は創刊当初はありませんでした。ですが、働く女性をイメージした表紙の写真に対し、「そのままのコーディネートが欲しい」という声が予想以上に寄せられました。それをきっかけに、ファッションを取り上げるようになりました。
読者の最大の悩みは着回しです。アンケートでは6割が着回しやアレンジの仕方が分からないと回答しています。きちんとしていて、上質で、機能的であることはもちろんですが、どう着こなすか、コーディネートするかに悩んでいます。上の世代に女性管理職が少ない日本ではロールモデルになる女性も少ない。自分をどう見せるかに気を遣ってこなかった女性が多く、ファッションにもコンサバで冒険はしません。一方でいつも同じ、人と同じも嫌。企画では、アクセサリーや小物使い、インナーを変える、差し色で変化をつけるなどで同じスーツでも着こなしの幅を広げられると紹介しています。装いで自分らしさを出すことが、仕事の差別化にもつながるのではないかと思うのです。
ブランド越えて
百貨店やアパレルメーカーと協業し、ファッションに関するセミナーやナイトショッピングなどのイベントも実施してきました。仕事が忙しく、買い物の時間が取れない女性も多いですから、ナイトショッピングは非常に喜ばれました。管理職になるような女性は真面目で勉強熱心な女性が多いです。セミナーでは講師の話を熱心に聞き、取り入れようとしています。実践できることを丁寧に提案すれば、自分でも「私ならこうできる」と考えるようになります。
仕事服は普段から百貨店での購入が多いようです。収入の多い女性にとってジャケットで10万円くらいは問題ではありません。ただし、百貨店などファッションの売り場はブランドごとに分かれてしまっています。ブランドを編集した売り場や、ブランドミックスの着こなしを相談でき、提案してもらえる販売員がいれば、もっと購入しやすくなるのではないでしょうか。
(繊研新聞本紙10月31日付)