では、どうしてダウンは温かいのでしょう。
良質なダウンには1オンス(約28g)当たり、約200万本もの羽枝(うし)があります。これらが組み重なり合うことで空気の保温層ができ、外の冷気を遮断し暖かさを保つことができるのです。この空気の保温層が温かさのポイントです。
皆さんも使っているマグボトルと同じ構造で、外の冷気との間に空気層を作ることで保温されるのです。
前回の①でも記しましたが、小さなダウンだと空気層も小さいため空気包含力が乏しく、保温性は劣るわけです。嵩(かさ、=ロフト)の大きなダウンが温かさを保証するのです。
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質のいい大きなダウンのメリットは他にもあります。弾力性に富むため、押し潰してもふりほぐせば元に戻る点です。通気性もあり、汗を吸収・発散してくれます。
ちなみに、良質なダウンの場合、1羽から30gほどのダウンしか採れないと言われています。とすると、1着のダウンジャケットをつくるのにざっと30羽ほどの水鳥が必要になるそうです。
いっけん、ダウンジャケットでも中綿がポリエステルのものがあります。これはダウンジャケットとは呼びません。実は、ダウンの保温性はそうした合繊の3倍とも言われています。しかも、少ない充填量で済むため製品を軽く仕上げることができます。
合繊は時間が経つと固まってしまい、結果として中綿に隙間ができ冷気が侵入する場合がありますが、良質なダウンであればそんな心配は要りません。
ホワイトグースダウンなど、色を強調して説明されることがありますが、色は保温性と無関係です。
白やベージュなど淡い色のダウン製品の場合、ホワイトダウンが好まれる傾向がありますが、それは「透けない」というのが理由で、保温性とは関係ありません。「キングオブダウン」と言われる最高品質のアイダーダックのダウンは茶色や黒です。