「DtoC(メーカー直販)を強化し、やっと平均点くらいの店を作れるようになれた。しかし、ここから上げるにはやっぱり商品、ブランド力が必要になる」と強調するのはデサントの小関秀一社長。22年度は直営店やECなどDtoCによる売り上げ比率が42%(21年度は39%)に上昇したが、同比率が58%のゴールドウインを引き合いに出し、「まだそのレベルに達していない」と厳しい。
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課題の商品については、「水沢ダウンの成功体験から『スポーツのにおいを出すと売れない』と、これまでブランドロゴをあえて目立たせないようにしてきた。しかし、それでは広がりに欠け、ひそかに着ている人だけが知るブランドになっていた。ロゴの見せ方は大幅に変える」と宣言した。
社員の意識改革にも踏み込む。DtoCの理想像を共有するため、今上期中に管理部門含め100人の社員に中国店舗の視察を義務付けた。主にデサントチャイナが運営するショップを回り、「毎年200億円単位で売り上げが増える中国のやり方を肌で実感し、『アディダス』や『アークテリクス』と同じ規模で売られている様を見て、刺激を得てもらいたい」と話す。
前期は経常利益と純利益で過去最高を達成したが、「無駄なモノを作らず、返品・値引きを減らすという当たり前の姿を追求したら(利益が)出ただけのこと。むしろ本番はこれから。『デサント』ブランドのプレミアム化を進め、毎年200億~300億円の利益を生み出せるような会社にしたい」と熱く語った。