愛知県知多半島で綿花栽培の取り組み広がる 知多木綿や他の農産品と連携

2022/09/22 06:25 更新


武豊町の旬菜耕房ほがらかが育てた綿花

 愛知県知多半島で、綿花栽培のプロジェクトが相次いでいる。綿織物で知られる知多産地の「知多もめん」ブランドと連動して製品化を目指す。知多半島では大都市の名古屋に近いこともありワイナリーやオリーブ栽培など農業を軸とした地域振興も活発化しており、これらとの連携も視野に入れている。

 昨年から綿花栽培を始めたのは、印刷会社勤務の傍ら料理研究家や知多産地のテキスタイルメーカーなどとの協業で「知多木綿キッチンズ」のプロジェクトを推進する小濱敬子さん。南知多町の農家から借り受けた農地で綿花栽培をスタート。今年が2年目。知多木綿キッチンズのエプロンやテーブルウェアなどへの使用を目指している。

 小濱さんのアドバイスを受けて今年から綿花栽培を始めたのが、生活介護や障害者の就労支援を行っている「旬菜耕房ほがらか」(愛知県武豊町、山本憲司理事長)。農業による就労支援の広がりを目指していた同所だが、「同じ農業のくくりで地場産業の知多産地での物作りノウハウが生かせる綿花栽培に着目した」(同所責任者の佐伯亜希子さん)。

 野菜作りで借りる農地の一部で綿花栽培をトライアルとして始めた。ノウハウを蓄積して来年度以降は規模を拡大する。栽培だけでなく、わた繰りなどの作業で施設利用者による参画を図りたい考え。将来的には「農地の10分の1、1㌃程度で綿花を栽培。コットンボールを使った雑貨など製品化も目指したい」考え。

 今年から南知多町でオーガニック綿の栽培を始めたのが、プリント加工メーカーの丸昇(愛知県蟹江町、安藤明弘社長)。同社は昨年4月から無農薬野菜やオーガニック綿などを栽培する農業事業部「マグリカルチャー・プロジェクト」を発足している。同町に合計で約8900平方㍍の農地を賃借し、オーガニック綿の栽培を始めた。今秋の収穫を目指している。また産品を使ったTシャツなどを自社ブランドで販売する計画。

 さらに同社は「知多木綿の産地とも近い南知多町という地域性を生かす。他の産品や商品を合わせた〝南知多町〟の地域ブランドにも成長できれば」(安藤社長)と期待する。



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