新静岡セノバ(静鉄プロパティマネジメント運営)は、人手不足に対する施策を効果的に打ち出すために、「スタッフの充足度に関するアンケート調査」を実施した。全約130店のうち、社員の数が「全く足りていない」「あまり足りていない」が21%、パート・アルバイトでは「全く足りていない」「あまり足りていない」が30%となるなど人手不足は深刻。今後も人手不足は続き、それを前提として店舗運営できる工夫が必要となっている。
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新静岡セノバは館として店舗の人手不足に積極的に取り組む姿勢を見せており、店舗と店舗の本部に対してアンケート調査を実施した。店舗の「後方業務」を受注(外注)して、限りある人的資源を、製造・接客販売などに集中できる環境を作るなど、対策の具体化に向けて動き出した。コロナ下で中止していたスタッフ懇親パーティーを復活させ、スタッフのコミュニケーションの円滑化や楽しく働ける環境の提供にも積極的に取り組んでいる。
飲食、食物販で不足
「スタッフの充足度調査」は5月、各店舗の店長を対象に実施した。社員の充足度では、「十分足りている」30%、「足りている」34%、「どちらともいえない」15%、「あまり足りていない」13%、「全く足りていない」8%。文化用品・雑貨・家庭用品と食物販業種で不足感が強かった。パート・アルバイトの充足度では、「十分足りている」27%、「足りている」25%、「どちらともいえない」18%、「あまり足りていない」25%、「全く足りていない」5%。飲食・サービス業種で不足感が強い。
こうした「不足傾向」に対して、新静岡セノバは①店舗(貸し室内)の日常清掃の外注化②荷受け・検品・陳列・倉庫管理業務の外注化③レジ業務の外注化④キャッシュレス化推進によるレジ締め業務の負担減⑤フロア・ゾーンごとの集中レジシステムの導入⑥飲食店の使用済み食器をバックヤードで集中洗浄⑦人手不足時間に臨時スタッフを派遣――の7項目について、店長と本部にアンケート調査を実施した。
「ショップ内の日常清掃・ゴミ捨てなどの業務を外注したいか」では、店長の回答は「外注したい」1%、「料金次第で検討したい」12%、「考えていない」87%。本部の回答は「外注したい」5%、「料金次第で検討したい」28%、「考えていない」67%。また、「荷受け・検品・品出し業務を外注したいか」では、店長は「外注したい」2%、「料金次第で検討したい」6%、「考えていない」92%。本部は「外注したい」8%、「料金次第で検討したい」20%、「考えていない」69%、「その他」3%。「スポット的な臨時ショップスタッフを派遣できる制度があれば使いたいか」では、店長は「使いたい」11%、「料金次第で検討したい」34%、「考えていない」47%だった。
スタッフの懇親会も
新静岡セノバは、「全体的に予想よりはどの業務も希望は低かった」としているが、「現時点ではイメージが湧かないのかもしれない」とみる。今後、人手不足が深刻化するにつれてニーズは増えていくと思われる。特に「店舗清掃・ゴミ捨ての外注」や「臨時スタッフの派遣」など、出来るところから準備を始め、サービス提供を開始するとしている。
また、店舗スタッフの懇親パーティ―を10月5日(新静岡セノバの開業記念日)に4年ぶりに開催し、約400人が参加した。店舗やフロアの垣根を越えたスタッフ同士のつながりを生み出し、悩みや相談事を話せる仲間作りの環境を提供することで離職率の低下を図る狙いもある。
(繊研新聞本紙23年12月4日付)