せーの「#FR2」デジタル時代のブランディング㊥

2019/11/03 06:30 更新


《新成長の条件 せーの「#FR2」 デジタル時代のブランディング㊥》二次流通を意識する 石川社長に聞く

 渋谷系メンズファッションブランド「ヴァンキッシュ」で一時代を築いたせーの(東京)が14年に始めたストリートブランドが「#FR2」(エフアールツー)だ。インスタグラムを活用し、海外での支持を急速に拡大。フォロワーが数千万人規模の著名人が商品や店舗の写真を投稿し、一般人に認知が広がるというサイクルが止まらない。「日本人ウケは意識しない」と始めたが、逆輸入的に日本でも人気が過熱している。背景には、二次流通を意識した供給の抑制がある。今、ブランディングに重要なこと、ファッションブランドがやるべきことを石川涼社長に聞いた。

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買えないから欲しい

 今となってはよかったなと思うんだけど、#FR2を始める時に「日本人には売れなくてもいいや」と割り切った。だから、インスタグラムに目を付けた。当時、海外ではみんなが使ってたから、手っ取り早く世界に伝えるならインスタが一番良かった。今は無数にあるけれど、〝インスタを活用したファッションブランド〟は世界的に見てもライバルが少なかったしね。

 国内・海外ともに購買客数は増えているけれど、圧倒的に海外の客の方が多い。基本的に国内流通は絞っていて、「満たさない」ことを心掛けている。人気なのに買えないから、「メルカリ」や「ヤフオク!」で高値が付き、さらに欲しくなる。人気品番も簡単に追加しないし、大体の商品を売り切れ御免でやっている。だから、セールに頼らなくても売れる。

時代の先を読み、新手を打ち続ける石川涼社長

セールしたら終わり

 今の消費者、特に若い子は、みんなインスタを見ていて、国や地域を問わず、同世代が憧れる物が欲しい。買い物の入り口もCtoC(消費者間取引)になっている。

 一次流通で70~80%オフで売られてる商品を買って、メルカリやヤフオク!で二束三文で売るぐらいなら、多少値の張る物でも人気ブランドならプロパーで買い、50%オフの価格で売ってしまえば、結果的に半額で買ったのと一緒。今の若い子はそういう感覚で買い物をしている。売ることに何のストレスも感じていない。

 今後、国内の二次流通は間違いなく今以上に盛り上がる。一次流通でセールを連発しているブランドは、二次流通で価値がない。だから、そんなブランドは終わる。計画的な施策なのだと思うけれど「先週入荷した商品が○○%オフ」のような売り方を見かけることがある。ファンを裏切る行為だし、ブランドとして根付くはずがない。

(繊研新聞本紙19年9月12日付)



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