イタリアの機能ウェア「ケープホーン」が、日本でのビジネスを伸ばし続けている。主力は品質の安定したダウンジャケットだが、季節を問わずに着用できるタウンユースのアウターも揃う。ディレクターのジルベルト・フェラーリさんに考え方を聞いた。
(須田渉美)
旅を通して感じるものからコレクションを作り上げています。マーケットトレンドもリサーチし、消費者が感動する要素を見つけて落とし込んでいます。
24年秋冬は、白、ベージュ、マロンといった色が特徴です。インスピレーション源は、過去に撮影したモンゴルの砂漠の写真。異なる色の砂が交じり合っている美しさを、カラーパレットで表現しました。旅をすると見えてくることはたくさんあって、例えば氷の色には黒やグレーも存在している。そういった気付きがクリエイションを支えています。
25年春夏は、自然の中にある美しい色と機能性を融合してコンテンポラリーに見せたいと考えました。レディス商品の一例は、オレンジやローズといった明るい色と透明感のあるテクスチャーを対にしたアウターです。薄手のナイロンにオーガンディを重ね、軽くて柔らかな風合いを生かしてフルイドラインが出るように作りました。雨や風など日常生活における天候の変化から体を守ってくれる機能とともに、シルエットに奥行きをつけてフェミニンなデザインに仕上げています。
環境配慮については、自然界に存在する材料を再利用する考え方で、当初からダウンを使っています。最も大事にしているのは、長持ちすること、様々なスタイルに合わせやすいこと。表地は、日本の繊維メーカーとパートナーシップを組んで、私たちが求めるスペックや風合いを満たすテクノロジー素材を作ってもらっています。
今後は、再生素材も取り入れて、トータルルックのラインナップを目指したいと考えています。パンツやポロシャツなど、消費者が品質や機能に確信の持てるアイテムを揃えて成長していきたい。