ビームスは、メンズの「ビームスプラス」で、リアル店ならではの顧客とのコミュニケーションに力を入れている。11月に有楽町から移転した丸の内店は、仕入れで取引のあるブランドの展示や靴磨きの「千葉スペシャル」など服好きに響くイベントを店外で開き、周辺ににぎわいを作り出した。溝端秀基ディレクターは「お客様とつながれるコミュニティーであることがこれからの実店舗の役割」と語る。
ビームスプラスは1940年代半ばから60年半ばの米国のトラッド、ワーク、スポーツ、ミリタリーの4テイストを軸にした男の服のレーベルだ。ディテールや作りにこだわった商品が多く、その魅力を伝えるため、SNSやポッドキャストを使った情報発信に力を入れてきた。
プラスの商品自体は全国のビームスでも販売しており、ECでも買える。だから原宿と丸ノ内の単独店では他のビームスと一線を画す品揃えにこだわる。ワークやミリタリーなど西海岸風のカジュアルが主力の原宿に対し、丸の内はアメトラやプレッピースタイルを推す。
店員もブレザーにチノパンが基本スタイルで、アメトラが仕事着として楽しめることを周辺で働くビジネスマンに伝える。店舗の前部分にシーズンの提案商品を並べ、後ろにブレザーが軸のドレススタイルを置く。顧客は店の奥でなじみの店員とマニアックな服談義が楽しめる趣向だ。
移転オープンの店外イベントにはインバウンド(訪日外国人)の姿も混じっていた。プラスは海外にも卸売りしており、欧米のファンもいる。溝端ディレクターは「今後もイベントを企画し、国内だけでなく海外のお客様も来たくなる店を作っていきたい」と話す。
(柏木均之)