「アンテプリマ」荻野いづみさんに聞く 30周年機にアーティストとの協業強化 物だけでなくカルチャーを伝える

2023/06/23 10:59 更新


 アイコンの「ワイヤーバッグ」が再ブレークしているアンテプリマ。客層はみるみるうちに広がり、現在は20~30代の割合が全体の約40%まで高まっている。様々な色や形が増えるなか、目立つのはアーティストとのユニークな協業だ。23年で30周年を迎え、一つの節目でもある今、協業を通して知的エレガンスなブランドの本質を色濃く出していく。

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 アンテプリマがフォーカスしているアーティストとの協業や異文化との交流など、物を売るだけでなく、カルチャーを伝えていきたいと考えています。「なぜアンテプリマが良いのだろう」と考えたときに、知的エレガンスを感じてもらえるようにしていきたいからです。今、私自身も複数のアートに関する会のメンバーであったり、香港にオープンした現代美術館「M+」(エムプラス)の立ち上げメンバーであったり、あらゆる面で現代アートを応援しつつ、文化交流を高めています。

 そのようなことがイタリアで認められて、今年7月にはファッションを通して文化貢献をしたと「TAOMODA AWARDS」をいただくことになっています。30年間続けて来られたお礼と今後に向けて、より高額で特別な物作りもしていく予定です。アーティストとの協業で、ワイヤーバッグをキャンバスにしたアートピースとなるアイテムを計画中です。定価は数百万円になるものもあります。

 今秋冬のテーマは「暗闇に光を」です。アンテプリマの根底にあるフィロソフィーの「スマート、プレシャス・ウィズ・ラブ」のラブには、いつも私が愛を持って商品を提供するという思いを込めています。その愛を30周年で打ち出したいと、画家の横山奈美さんと協業します。今彼女に、9月1日から開催するザ・ペニンシュラ東京の「アンテプリマアフタヌーンティー」に合わせて、絵を描いてもらっています。ザ・ロビーで展示予定です。

「アンテプリマ」の23~24年秋冬コレクションから
「アンテプリマ」のバッグ(23~24年秋冬コレクション)

 私がLOVEを描いて送り、彼女がそれをモチーフにライトを作ります。その大きなライトに枠を置き、それを見ながら絵を描きます。なぜこのような組み立てをするかというと、愛には良いところだけじゃなく、痛みや厳しさもあるからです。私の集大成のような形で、お見せできればと思っています。

 その他の協業では、日本のカルチャーを取り入れて、ワイヤーバッグに小説を入れて販売します。「女性のエンパワーメント」をテーマに、3世代の女性を主役にした三つのショートストーリーブックを、脚本家の中園ミホさんに書き下ろしてもらいました。「本とスマートフォンを入れて、旅に持っていくのにいいですよ」と提案します。小説が入るように、一番人気のスクエア型の「スタンダード・ミニアトゥーラ」より縦長にしました。10月に蔦屋書店で販売予定です。

荻野さん


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