アダストリア、CPに谷川じゅんじ氏

2016/08/01 15:54 更新


コーポレートブランディングを強化 

 アダストリアは、コーポレートブランディングの強化に取り組む。本件のクリエイティブプロデューサーとして、空間クリエイティブなどを行うジェイ・ティー・キュー(東京)代表の谷川じゅんじ氏を起用。マルチブランド体制を生かしつつ、その軸となるアダストリアとしての発信力も高める。

 アダストリアはこれまで個々のブランドの成長に注力し、連結売上高は2000億円。しかし、企業規模や各ブランドの認知の高さに比べ、アダストリア自体の名は一般に知られていない。2000億円の先を目指すには、「アダストリアの知名度や信頼度をもっと上げるべき」(木村治常務取締役)として、今後はクリエイティブ面への投資を強化する。谷川氏との取り組みとは別に、6月に企業ロゴも変更したばかりだ。コーポレートブランディングは、新卒など人材採用でも重要とする。

 ただし、単純にアダストリアの名前の宣伝だけが目的ではない。例えば、「『グローバルワーク』と『ニコアンド』は同じ会社なんだ、アダストリアなら安心だ」と思ってもらえることなどをイメージしている。人々の時間の使い方が変化する中で、今後のビジネスでは「人を集めたり、どれだけその人の時間を占有できるかが大切」(谷川氏)となる。さらに、店舗空間でどんな体験を提供できるかによって、評判が口コミで広がったり、アダストリアのほかのブランドにも波及させる。

 消費者の価値観の多様化に対応するため、17ブランドを有し、ライフスタイルを広く提案できる強みもより生かす。6月下旬には、カフェ・カンパニーとの新会社設立に関する基本合意を発表するなど、飲食事業拡大にも積極的だ。コーポレートブランディングを通じ、今後は例えば、商業施設で大きな区画が空いたときに、ブランド単位ではなくアダストリアとして売り場を作る可能性もある。「アダストリア自体がライフスタイルブランド化」(谷川氏)しながら、店舗空間のモデルケースを日本で作ることで、アジアなど海外市場での成長も見えてくる。

 谷川氏は現在、外務省ジャパンハウスのロサンゼルス事業プロデューサー、茨城県北芸術祭クリエイティブディレクターなども務める。谷川氏とは、コーポレートブランディングだけにとどまらず、「各ブランドをどう進化させるか、衣食住をどう広げていくかといったことにも一緒に取り組んでいきたい」(木村常務)方針だ。

アダストリアの木村常務(左)と、ジェイ・ティー・キューの谷川じゅんじ代表



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