三菱ケミカルが昨年、アクリル繊維の生産を中止、事業撤退した。ポリエステル、ナイロンと並び3大合繊の一角を占めるアクリルだが、世界的にも生産量の減退が続いている。
(特別編集委員・藤浦修一)
アクリル繊維の歴史は米デュポンが50年に工業生産を開始したことに始まる。日本では57年に鐘淵化学がアクリル系繊維の生産を開始、その後、ポリエステルの事業化に後れを取っていた三菱レイヨン(現三菱ケミカル、以下三菱レ)と旭化成工業(現旭化成)が参入、業界1、2位を競い事業拡大を続けた。
アクリルは、ポリエステルと比べて比重が軽く、やわらかさと温かい肌触りでウール代替素材として市場を広げた。カチオン染料で染色できるため鮮やかな発色も特徴だ。セーターなど横編み、ジャージー、肌着、靴下、毛布、ぬいぐるみ、カーペット、水回りマットなどが主な用途。炭素繊維材料でもある。
97年ピークに減少
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