世界を魅了する〝こだわり〟には、理念・技術力・実行力が不可欠――早稲田大学ラグジュアリーブランディング研究所は1月31日、ブランディングの要となるこだわりについて、トヨタ自動車レクサスインターナショナル、ビームス、スノーピーク、能作、経済産業省の責任者・担当者を招いてパネルディスカッションを開いた。
早稲田大学の長沢伸也教授は、「欧州のラグジュアリーブランドは元々地場・伝統企業だったところが多く、理念・技術力・実行力の組み合わせからなる、こだわりを基点に強いブランド力を構築してきたの対し、日本の地場・伝統企業は強いこだわりがほとんどブランド力に結びついていない」と指摘。これを裏付けるように、経済産業省製造産業局の中内重則伝統的工芸品産業室長は「日本の伝統的工芸品の生産額は84年の約5000億円をピークに、現在は5分の1に縮小している」とのデータを示した。
「日本の企業・ブランドがこだわりをどう生み出すか」というテーマでは、トヨタ自動車で高級車レクサスに関わる澤良宏レクサスインターナショナルエグゼクティブヴァイスプレジデントが「こだわりを生み出すには、理念・フィロソフィーを整備することが重要。理念を多くの人と共有し、その上でものを作り、理念に沿ったプロモーションを作るべき」と強調した。
続いて商品開発に欠かせない「デザインを誰がこだわるか」との設問では、ビームスの遠藤恵司副社長が「社内に専制的なデザイナーを置くのは危険。ストリート・顧客目線に立つ人と当社の企画担当者が詰めていくのがわれわれのやり方」、鋳物メーカーでデザイン性の高い風鈴などを作る能作の能作克治社長は「産地企業はデザイナーを〝先生〟と呼ぶことが多いが、われわれは同じ目線で対等な立場で仕事をするため、取引する20人の外部デザイナーとはロイヤルティー契約を結ぶ」、スノーピークの山井太社長は「当社製品を作るには、アウトドアユーザースキル・創造性・燕三条にある製造技術を熟知していることが必要で、これは社内で養成しないとできない」と話した。