《視点》気候変動訴訟

2023/08/08 06:23 更新


 法律の力で気候変動問題に対応しようとする動きとして「気候変動訴訟」が世界中で起こされ、注目されている。

 気候変動による影響や被害を受けることは「人権の侵害である」「気候変動対策が不十分である」などとして、企業や政府などを相手に訴訟を起こす事例が増えている。20年5月時点で1500以上の訴訟が行われている。19年12月、オランダ最高裁は「オランダ政府は気候変動防止のため、合理的かつ適切な手段を講じる積極的な義務があり、政府は当該義務に違反している」との判決を下した。

 ドイツの環境NGO(非政府組織)「ジャーマン・ウォッチ」は、世界各国の温暖化対策を比較評価する「気候変動パフォーマンス指数」(CCPI)の最新版(23年度版)で、日本を59カ国中の50位と評価した。同NGOの「世界気候リスク・インデックス」(20年版)では、豪雨で甚大な被害を受けた日本を183カ国中のワースト1位として「気候変動への対応が急務」と警鐘を鳴らしている。

 日本では「個人のライフスタイルを変えよう」「地球に優しい行動をしよう」などのフレーズで、個人の行動変容を促す動きが盛んだ。しかし、今、早急に求められるのは、企業や政府を含む社会システム全体の環境問題に対する施策の大胆な変革ではないか。

(民)



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