中国社会で「996」が問題になっている。午前9時から午後9時まで、週6日働く、つまりは長時間労働のことだ。急激な経済成長を遂げる一方で、競争も激しい中国社会だけに、スタートアップ企業や夢の実現を目指す者にとっては996は避けられないのだろうが、過労死や搾取といった事態が増えてしまうようでは許されない。
製品OEM(相手先ブランドによる生産)に付き物だった長時間労働を見直す動きがある。「時間をかければかけるほど取引先へのサービスになる」としてきた企業や担当者にも限界がある。無理難題を唯々諾々と引き受けるのも限度がある。生産や企画に関わるシステムの導入などで、OEMを効率化する試みが進んで欲しい。
労働時間の短縮を生産性の向上と両立させる、もしくは時短で生産性をいかに上げるかが問われている。午後7時に事務所が閉まってしまうと、周辺のカフェや自宅でパソコンを見る社員がいるという話も聞く。
これに業績評価が絡むと更に複雑になる。日本でも996から脱せられない、あるいは戻ってしまう一因になっている。
(近)