《視点》国内製造テキスタイルの変化

2019/04/23 06:23 更新


 国内製造テキスタイルを取り巻く環境が大きく変化してきた。尾州産地では高単価・高付加価値商品は輸出向け、値ごろだが日本製造ならではの商品が国内向けという構造が強まっている。背景にあるのは、国内ファッション業界で進むデフレ基調。そして中国を中心とした新興ファッション市場の成長がある。

 国内製造テキスタイルは需要が底堅いのは事実だが、物作りが厳しくなっている。産地縮小のあおりを受けて生産能力が衰え、国内向けの要望に応えようとすると早期の生機生産・染色加工発注をせざるを得なくるからだ。資金回転は非常に悪くなり、結果的に体力のある産地上位企業に受注が集中する。しかし実際の経営は厳しい。

 一方で中国や欧米など海外向けは、意匠物など単価の高い商品が堅調だ。大手生地問屋向け発注の相当部分が海外向けという声も聞く。

 国内と海外のバランスを取り、いかに産地の生産能力を維持するのか。産地に突きつけられた課題は大きい。

(浅)



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