機能素材の開発が次の段階に入った。顕著な例で言えば、導電性繊維などを使った生体センサーの開発が旺盛だ。最近では、人体に働きかけて運動効率や休息効率を高めるという新素材も注目されるようになってきた。吸汗速乾素材などの従来型が「汗が出たら吸って拡散する」という受動的な素材とすると、新素材は能動的な素材と言える。
新素材は天然の鉱石を粉末化したものを特殊配合し、繊維やシリコーンなど様々な素材に練り込んで使われている。五輪に出場するクラスのトップアスリートが自ら望んで使うケースも増えているし、商品の付加価値を上げたいというアパレル企業やアクセサリーメーカーが協業を持ちかけるケースも増えている。
こうした素材に課題があるとすれば、適切な第三者機関での臨床検査を経て、効能があるという根拠を示すこと。根拠がなければ「うさんくさい」と見る消費者は多いだろうし、そもそも特徴を宣伝しにくく、売りにくい。言い換えると、課題をクリアすれば強力な付加価値になる。それでも信用しない消費者はいるだろうが、一つの大きな機能商品市場になり得る可能性は高いと考える。
(嗣)