外資系コンサルティング会社出身で、雑貨ODM(相手先ブランドによる設計・生産)企業の若手経営者が「〝付加価値創造〟と〝機能〟は分けて考えるべき」と語った。〝物作り〟と〝流通構造の変化〟、更に言えば〝クリエイション〟と〝EC〟は別物との意味だ。
至極当然の見方だが、昨今業界のなかで目立つのはECに関する話題。客とのタッチポイント(接点)を増やし、アプリで商品訴求し、いつでもどこでも購買に応える販売の〝仕組み作り〟への注目度が高い。
しかし、ECであれ実店舗であれ、客にとって魅力的な商品であるか否かが最大の購買動機であるはず。その若手経営者は「商品の価値はクリエイション、物作りからしか生まれない」。一方、ECは流通の合理化を実現する「あくまでツールである」と言い切る。
実は、彼はコンサルティング会社で医療分野を担当していた。「病院経営の施策は患者の命の問題に直結するため、真剣なやり取りがあった」と言う。だからこそ「この業界でも価値の源泉であるファッションの本質をもっと深く考えて、事業に生かしたい」と言い切る。付加価値は人が生み出すもの。流通構造の大きな変革のなかで、新しい価値が生み出されることに期待したい。(民)