国内生産の現場を支える外国人労働者。昨年秋時点の厚生労働省の統計では、およそ230万人が働く。かつては中国が圧倒的だったが、今はベトナム人が57万人、中国40万人、フィリピン24万人などとなっている。少子高齢化、人手不足のなか、今や外国人労働者抜きに成り立たない産業構造になっている。
日本の素材や縫製の現場でも外国人労働者が多く働いているが、近年は採用が難しくなったという声をよく聞く。日本経済の伸び悩みや円安による手取り収入の減少に加え、台湾や韓国などとの人材獲得競争も目立ってきた。
日本、台湾、韓国それぞれの1人当たりGDP(国内総生産)は総じて3万ドル台だが、日本は韓国、台湾に追い抜かれた。韓国の最低賃金は1100円以上で、日本で1100円を超える都道府県は、東京や神奈川、大阪しかない。今後、インフレで日本の賃金も上がるだろうが、働く場所としての魅力が薄れてきたのが現実だ。
その魅力を高めるためにはどうしたら良いか。労働環境の整備などももちろん重要だが、自ら販売に取り組むファクトリーブランド化もその一つだろう。メイド・イン・ジャパンの技術は海外からの評価も高い。豊かになった韓国や台湾は、新たな販路でもある。稼げる縫製工場は、日本人にとっても外国人にとっても魅力的な職場になるはずだ。