青森県の主要3都市、青森市、八戸市、弘前市にはすべて百貨店が二つずつある。人口はそれぞれ28万人、23万人、17万人と百貨店のある都市としては小ぶりだ。百万都市でも2店か3店のところが多いだけに珍しい。山形や米子なども百貨店が二つあるが、県内の3都市に2店ずつ、合計6店もあるというのは地方の県では突出している。弘前の1店を除くといずれも中心市街地に立地している。もちろん経営環境は厳しく、減収傾向が続いている点は他の地方都市と同じだ。
こうした共存が成立した要因は、一つは青森県の消費が一極集中していないということだろう。3都市間での消費の流出入が少なく商圏として分かれていることが均衡を保てた理由ではないか。もう一つは消費の流出先が遠いということだろう。買い物のために遠出しようとすると東京か仙台になるが、そう頻繁には行けない。
中合三春屋店に聞くと、ほかのエリアよりも百貨店の役割分担がなされていて、地域住民も使い分けているのではないか、と言う。ということは1店が消えると残った店の役割が偏ってしまうとも言える。1店がなくなると街への影響はかなりのものだろう。地方百貨店活性化の決め手はまだ見えてこないが、街の2店への依存度はますます強まるのではないだろうか。(武)