マークスタイラーのレディス「アングリッド」が好調だ。16年10~12月の既存店売上高は前年同期比2%増。前年に大きく伸ばしたため、4~9月(5%増)に比べると伸びは鈍化したが、EC売上高も19%増で勢いを維持した。16年4月~17年3月の累計売上高は15%増の見込み。
ライフスタイル提案にも注力中で、今春は東京・新宿区のマンションをリノベーションし、売り出す。住宅購入を考える年代に差し掛かる顧客へのアピールの一環で、新しい仕掛けを欠かさない。
実店舗の売上高が10~12月、伸び悩んだのは、アウターと強みのデニムパンツ(1万5000円前後)でヒットが出なかったため。この結果、デニムの構成比は従来は20%だったが、17%前後に低下したという。しかし、12月のセール開始に伴って売り上げは上昇、特に「ルミネエスト新宿のセールは好調だった」(中見川宜紀アングリッド事業部長)という。
この勢いで1月は約7%増。春物は、ダークトーンのアウターと合わせられる定番商品の春色が売れている。オレンジやイエローなどのニットトップ、ボーダー柄のカットソートップが良かった。
売り上げが堅調な理由は、顧客の囲い込み。実店舗と自社EC共通のブランドカードの保持率は全体の7割。購入以降の期間と回数で客を区分し、ブランドから脱落させない施策を細かく設計する。セグメント別にノベルティーフェア案内などを送付、再来店につなげている。
これが、シーズン初頭の買い上げに結びつく。例えば、一般的に売り上げが落ちる2月と8月、同ブランドではデニムが売れる。「デニムは気温に関係なく着用でき、立ち上がりから欲しがる顧客が多い。顧客にヒットすると、マス層に口コミで広がり、5月の連休まで売れ続ける」と分析する。この2月もデニムフェアで新作を多数投入、デニム販売の回復を目指す。
ECは、販売員の着用画像を増やしたことが「身近に感じられてイメージしやすい」と支持された。欠品商品の画像はこまめにサイト上から消すなどの施策で、ユーザーの満足度を高め、売り上げを伸ばした。
店舗数は都市部ファッションビルを中心に22。今春は大宮ルミネ、町田モディ、立川ルミネに出店し、秋は千葉ペリエへの出店を予定する。「17年は計5~7出店する。やみくもに拡大するつもりはないが、20年までに実店舗を50店弱にし、卸やECと合わせて売り上げ100億円規模を目指す」という。