鶴屋百貨店の自主販売、顧客クレームゼロ化

2016/12/14 06:42 更新


 鶴屋百貨店(熊本市)が昨年10月から自主編集・自主販売体制に切り替えた本館1階婦人用品売り場が順調だ。16年9月までの自主化後1年間の売上高は前年同期比6%減だが、熊本地震の影響で4月15日~5月末の期間休業しており、4、5月を除く10カ月比較では4%の増収。

 自主化の最大の狙いである顧客満足の向上についても、「接客に関するクレームはほぼゼロ」(森田祐司婦人洋品部部長)になったという。一方で売り上げ10%増の目標に届かなかったため人件費の増分を吸収しきれず、売り場営業利益の改善には課題も残した。

 自主化の発端は、来店女性の多くが利用する婦人用品売り場で、どうしても自社商品の販売を優先する取引先販売員による不自然な接客が、しばしば顧客からのクレームを招いていたこと。

 自主化前には販売減を恐れる取引先からの抵抗もあったが、自主化の1年以上前から売り場担当社員を増員して運営や販売スキルの習得を図った。約350平方㍍の売り場を取引先販売員24人、社員15人の合計39人で運営していたが、自主化後はメーカーやアイテムの壁を越え接客が可能になり、社員33人で運営している。

 取引先から籍を移した社員も相当数いるため、自主化への移行は比較的スムーズに進んだ。ただ、扱い商品がハンカチやレッグ関連、手袋や帽子、ストールやマフラー、ベルトなど多岐にわたるため、発注精度や商品知識の蓄積にはまだ時間が必要だ。

 取引先には商品についての勉強会への協力を依頼、展示会情報の社内共有も図りながら商品知識や接客力の底上げを進めている。

 シーズンごとの売り場の拡縮が適宜できるようになり、販売員を派遣できないメーカーからの仕入れも可能になるなど、自主化で売り場運営の自由度は飛躍的に高まった。

 取引先販売員の補助的仕事にとどまっていた社員のモチベーションも高まっており、今後は顧客ニーズを引き出す新商品提案やイベント企画などにも挑戦していく。



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